First Person Surgeons:ビデオゲームが時間の無駄ではないことを証明

英文記事執筆:Sean Furniss / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部

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ビデオゲームを楽しむ多くの人々は、自分たちがしていることは時間の無駄だと、ほかの人々から絶えず言われてきました。たしかにビデオゲームは世界で最も生産的な娯楽ではないかもしれませんが、あるプロジェクトは、ビデオゲームが医療業界において驚くべき価値を持つ可能性があることを証明しています。

ブラジルのオエステ・パウリスタ大学(Unoeste)では、革新的なプロジェクトが、戦術シューティングゲームである Counter-Strike を医学部の学部課程のカリキュラムに正式に組み込みました。このプロジェクトは “First Person Surgeons” と呼ばれており、これは Counter-Strike のゲームジャンルである “First Person Shooter”(主人公の一人称視点でゲーム中の世界を移動し、敵と戦うシューティングゲームのこと) をもじった表現です。オエステ・パウリスタ大学は、医療従事者が専門的なデジタルスキルと運動技能を持つことがより一層求められていることへ対応するために、1学期間にわたるこの科目を導入しました。このプロジェクトは、デジタルゲームが人間の運動協調性*に及ぼす影響に関する科学的証拠に基づいて設立されました。そこで、研究者たちはビデオゲームに慣れている人に、より優れた手先の器用さが見られることを観察しました。

この講座の初回講義のために、大学は、ブラジルの eスポーツ組織 Furia(フューリア) に所属する、Counter-Strike の2度の世界チャンピオンである Gabriel “FalleN” Toledo を招きました。FalleN は、医療分野に応用可能な、プロレベルの Counter-Strike の戦略について説明しました。(どちらにも)大量の情報を取り入れ、短時間で決定を下し、それを伝えるという明確な特徴がありました。FalleN はまた、“clearing the noise” という技術を学生たちに教えました。これは、プロの選手が、満員のスタジアムの大歓声のような外部の気を散らすものを遮断し、プレッシャーの中で重要な情報に集中できるようにする精神統一の方法です。医療の文脈では、これは、救急処置室の混乱の中で冷静さを保ち、患者のバイタルを明確に監視することに相当します。

このプロジェクトは、ビデオ腹腔鏡手術やロボット手術などの低侵襲手術(患者の体へのダメージや傷跡を最小限に抑えた手術)に必要な技能を学生に身につけさせるために設計されました。これらの現代的な手術では、医師が高精細モニターを見ながら物理的なコントローラーを操作する必要があり、その設定はプロのゲームと著しく似ています。インターフェースが非常に似ているため、ゲーム経験のある学生は、ゲーム用マウスから手術用ジョイスティックへ、違和感なくすぐに移行できることがわかりました。なぜなら、彼らの脳はすでに手の動きと画面上の動作との間につながりを築いていたからです。

これは単なる逸話ではなく、活発なゲーム習慣を保っている外科医は実際の手術でより低い失敗率を記録することを示す科学的証拠に基づいています。オエステ・パウリスタ大学はこの証拠を取り入れて、臨床実習の前提条件として扱われるゲームを用いた厳格な訓練を作り出しました。学生たちは、本物の手術を行うことを許可される前に、ゲーム内で特定の正確性の目標を達成することさえ求められます。ゲームでの練習は、人間の身体の複雑な構造を扱うために必要な筋肉の記憶と認識力を養成するため、初期の学習曲線(学習の難しさ)を短期間で軽減するのに役立つと言われています。

“First Person Surgeons” プロジェクトを実施することによって、オエステ・パウリスタ大学はゲームに関する既存の考え方に異議を唱え、効率的なコミュニケーション、器用さ、感情のコントロールといった価値ある技能が、戦術シューティングゲームで学べることを証明しました。学生たちはおそらく、自分たちの医学教育の一部として Counter-Strike をプレイすることになるとは予想していなかったでしょうが、科学的証拠と実際の結果は、伝統的な学問的方法がついに進化しつつあることを示しています。

この記事を、「ゲームは時間の無駄だ」と言ったすべての親たちに捧げます!

*運動協調性:脳からの指令に基づき、複数の身体部位(手、足、目など)をタイミングよく連動させ、スムーズに動かす能力

emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ

anecdotal

「逸話に基づく」「個人的な体験談による」

ポイント

「anecdotal」は、統計や体系的な調査ではなく、個人の経験や具体的なエピソードに基づくことを表す形容詞です。そのため、「anecdotal evidence(逸話的証拠)」のように使うと、参考にはなるものの、科学的な根拠としては十分でないことを示す場合があります。

例文

The evidence is largely anecdotal and has not been confirmed by research.
「その証拠の大部分は体験談に基づくものであり、研究によって確認されたものではない。」

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