東京国際映画祭にケイト・ブランシェットら来日!映画『アルファ・ギャング』のトークショーから自然な英語表現を学ぼう!

2026年10月26日(月)から11月4日(水)まで開催される「第39回東京国際映画祭」。

10月30日(金)には、映画『アルファ・ギャング(原題:Alpha Gang)』の特別上映がTOHOシネマズ日比谷で行われ、出演者でありプロデューサーも務めるケイト・ブランシェット氏と、監督のデヴィッド・ゼルナー氏、ネイサン・ゼルナー氏が登壇しました。

今回の上映は、映画祭のプログラムがほぼ決定した後、ケイト・ブランシェット氏から本作の情報が寄せられたことをきっかけに実現したもの。トークショーでは、作品を観たプログラミングディレクターの市山尚三氏が上映を熱望し、急きょ会場を確保してジャパンプレミアが実現したという裏話も明かされました。

『TAR/ター』『ブルージャスミン』など、数々の作品で知られるケイト・ブランシェット氏。今回のトークでは、作品への参加を決めた理由や、インディペンデント映画の製作、豪華キャストが集結した舞台裏など、映画づくりにまつわるさまざまなエピソードが語られました。

本記事では、そんなトークショーの中から印象的な英語表現をピックアップ。実際の会話で使われたフレーズを通して、意味やニュアンス、使い方をご紹介します。

映画『アルファ・ギャング』とは?

©Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.

『アルファ・ギャング』は、『サスカッチ・サンセット』などで知られるゼルナー兄弟が監督を務めるSFコメディ映画です。

物語の主人公は、地球侵略を目的に宇宙から送り込まれたエイリアンの武装集団「アルファ・ギャング」。人間になりすまして任務を遂行しようとする彼らでしたが、地球で思わぬ事態に直面します。それは、エイリアンにとって危険な「人間の感情」に感染してしまうこと。愛情や喜び、悲しみといった感情を知ったことで、彼らの侵略計画は思いもよらない方向へと進んでいきます。

キャストには、ケイト・ブランシェット氏をはじめ、デイヴ・バウティスタ氏、レア・セドゥ氏、ライリー・キーオ氏、クリス・パイン氏、リリー=ローズ・デップ氏、ペ・ドゥナ氏ら、国際色豊かな俳優陣が集結。

人間の感情という身近なテーマを、エイリアンの視点からユーモラスに描く、ユニークな作品となっています。


トークショーではまず、ゼルナー兄弟とケイト・ブランシェット氏が、どのようにして本作の製作を始めることになったのかが語られました。

ゼルナー兄弟は、エイリアンの視点から人間の世界を描くSF映画の構想を長年温めていたと言います。そこに俳優として、さらにプロデューサーとして参加したのがケイト・ブランシェット氏でした。

ケイト氏がプロデューサーも務めることになったのは、自らの希望だったのか、それとも監督たちからの依頼だったのか。司会者からその経緯を尋ねられると、ケイト氏はインディペンデント映画の製作におけるプロデューサーの役割について語りました。

Cate Blanchett(ケイト・ブランシェット)/©Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.

Cate Blanchett(ケイト・ブランシェット)

英文

Well, as you probably see from the credits, there’s quite a few producers, and I think that’s increasingly going to be the way that independent cinema gets realized.

It does take an army, but Coco Francini and I, my partner at Dirty Films, really wanted to help the Zellners realize the film, because it was such a great idea. And sometimes you just don’t want the idea to lose momentum.
(中略)
And it’s also trying to help set the table for the film to be released in a good way.

和訳

クレジットをご覧になればおわかりかと思いますが、この作品にはかなり多くのプロデューサーが参加しています。そして、これからのインディペンデント映画は、ますますこうした形で実現していくようになるのではないかと思います。

映画を作るには、本当に大勢の人の力が必要です。でも、私と、Dirty Filmsで一緒に仕事をしているパートナーのココ・フランチーニは、ゼルナー兄弟がこの映画を実現する手助けをしたいと強く思っていました。それほど素晴らしいアイデアだったからです。素晴らしいアイデアというのは、時として、その勢いを失わせたくないものですよね。
(中略)
そして、完成した映画が適切な形で公開されるよう、そのための環境を整えることも、プロデューサーの重要な役割だと思います。

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momentum

勢い、推進力

ポイント

「momentum」は、物事が進んでいく勢いや、その勢いを維持する力を意味します。特に、企画や活動などが軌道に乗っている状況で使われ、「gain momentum(勢いがつく)」「lose momentum(勢いを失う)」「keep the momentum going(勢いを維持する)」などの形でよく使われます。

例文

And sometimes you just don’t want the idea to lose momentum.
(そして、時にはそのアイデアの勢いを失わせたくないものです。)

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set the table

準備を整える、土台をつくる

ポイント

「set the table」は、もともと食事のために「食卓を整える」という意味ですが、比喩的に、何かを実現するための環境や条件を整えることも表します。「set the table for ~」の形で、次の段階や成功に向けた下準備をする場面で使われます。

例文

And it’s also trying to help set the table for the film to be released in a good way.
(そして、映画がよい形で公開されるよう、そのための環境を整えることも大切なのです。)


続いて話題は、豪華な顔ぶれがそろったキャスティングへ。

本作には、ハリウッドの大作からアート系の映画まで、さまざまな作品で活躍する俳優たちが出演しています。

これほど多彩なキャストをどのように集めたのか、また、どのような基準で出演者を決めたのか。司会者からキャスティングの過程について尋ねられると、デヴィッド・ゼルナー監督は、国籍や活動する映画のジャンルにとらわれない、ユニークな顔ぶれを実現したかったと語りました。

David Zellner(デヴィッド・ゼルナー監督)/©Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.

David Zellner(デヴィッド・ゼルナー監督)

英文

Well, we started with Cate, and then I think, in the bigger picture, we wanted an ensemble that came from all kinds of backgrounds, from different countries, different types of films. These actors that are in, you know, big Hollywood action movies, and from arthouse cinema, and act in other languages.

We just wanted a really interesting international combination.

So before you can see the movie, just from seeing the cast, there’s something unique and original about it, and maybe confusing to you. Like, “What is this movie?”

You know, and that’s exciting to us when we see, just from the outset, a cast that we’ve never seen together before, and it kind of creates a really interesting energy.

和訳

まず、ケイトの出演が決まりました。そして、もっと大きな視点で考えたときに、僕たちはさまざまなバックグラウンドを持つ俳優たちを集めたいと思ったんです。異なる国の出身者や、さまざまなジャンルの映画で活躍する俳優たちですね。ハリウッドの大作アクション映画に出演する人もいれば、アート系の映画で活躍する人、英語以外の言語で演技をする人もいます。

僕たちは、とにかく面白い、国際色豊かな組み合わせを実現したかったんです。

映画を観る前から、キャストの顔ぶれを見ただけで、何かユニークで独創的な作品だと感じてもらえるような。もしかしたら、ちょっと戸惑うかもしれません。「これはいったいどんな映画なんだ?」って。

僕たちにとっては、それこそがワクワクすることなんです。これまで一緒に出演しているところを見たことがない俳優たちが、最初から顔をそろえている。それだけで、とても面白いエネルギーが生まれると思うんです。

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the bigger picture

全体像、大局的な視点

ポイント

「the bigger picture」は、細かい部分だけでなく、物事の全体像やより広い視点を指す表現です。「look at the bigger picture(全体像を見る)」「see the bigger picture(大局的に捉える)」などの形でもよく使われ、目先のことだけでなく、より広い状況や長期的な視点から考えるときに使われます。

例文

Well, we started with Cate, and then I think, in the bigger picture, we wanted an ensemble that came from all kinds of backgrounds, from different countries, different types of films.

(まず、ケイトの出演が決まりました。そして、もっと大きな視点で考えたときに、僕たちはさまざまな国や映画のジャンルなど、異なるバックグラウンドを持つ俳優たちを集めたいと思ったんです。)

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from the outset

最初から、当初から

ポイント

「outset」は物事の始まりを意味し、「from the outset」で「最初から」「当初から」という意味になります。「from the beginning」とほぼ同じ意味ですが、ややフォーマルな響きがあり、計画やプロジェクトの開始時点について説明するときなどにも使われます。

例文

And that’s exciting to us when we see, just from the outset, a cast that we’ve never seen together before, and it kind of creates a really interesting energy.

(これまで一緒に出演しているところを見たことがない俳優たちが、最初から顔をそろえている。それが僕たちにとってはワクワクすることで、とても面白いエネルギーが生まれると思うんです。)


トークショーの終盤には、映画のビジュアルやユーモアについても話が及びました。

デヴィッド・ゼルナー監督は、エイリアンたちの革ジャン姿について、かつて日本で映画を撮影した際、代々木公園で目にしたダンサーたちのファッションからも影響を受けたと明かしました。

続いてネイサン・ゼルナー監督は、作品に盛り込まれたさまざまな種類の笑いについて言及。国や文化によってジョークの受け止め方が異なることにも触れ、日本の観客がどのように反応するのか楽しみにしていると語りました。

Nathan Zellner(ネイサン・ゼルナー監督)/©Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.

Nathan Zellner(ネイサン・ゼルナー監督)

英文

Yeah, I think I’m very interested in, you know, our movies always balance humor and pathos, and this one definitely, there’s a lot of humor in it.
Some of it’s very broad, some of it’s very subtle, some of it’s ironic, some of it’s very Looney Tunes and slapstick.

So I’m always curious because when we screen our movies in different countries, sometimes there’s jokes that everyone loves. There’s some jokes that only certain people understand.

So that’s why I’m kind of curious how the response here will be with some of those. I don’t know, we like to make movies that make us laugh, and hopefully, like, we meet a lot of people all over the world that have that same sense of humor.
And I’m hoping a lot of them were here tonight.

和訳

そうですね。僕は、ユーモアというものにとても興味があります。僕たちの映画はいつもユーモアと哀愁のバランスを大切にしているのですが、今回の作品にも間違いなく、たくさんのユーモアが盛り込まれています。
とてもわかりやすい笑いもあれば、さりげない笑い、皮肉の効いた笑いもあります。『ルーニー・テューンズ』のような、ドタバタしたコメディもありますね。

僕たちの映画をさまざまな国で上映すると、誰もが笑ってくれるジョークもあれば、特定の人たちにしか伝わらないジョークもあるんです。だから、今回の作品に含まれるそうした笑いが、ここ日本ではどんな反応を得られるのか、とても興味があります。

僕たちは、自分たち自身が笑える映画を作るのが好きなんです。そして、世界中で同じようなユーモアのセンスを持つ人たちに出会えたらいいなと思っています。
今夜、ここにもそんな方々がたくさん来てくれていたらうれしいですね。

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pathos

哀愁、悲哀、哀感

ポイント

「pathos」は、人の心に悲しみや同情、切なさを呼び起こすような感情や表現を指す言葉です。特に映画や文学、演劇などの作品について語る際に使われ、「humor and pathos(ユーモアと哀愁)」のように、笑いと切なさが共存する作品を説明するときにも用いられます。

例文

Our movies always balance humor and pathos, and this one definitely, there’s a lot of humor in it.
(僕たちの映画はいつもユーモアと哀愁のバランスを大切にしているのですが、今回の作品にも間違いなく、たくさんのユーモアが盛り込まれています。)

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slapstick

ドタバタ喜劇、身体的な動きを使った笑い

ポイント

「slapstick」は、転んだり、ぶつかったり、追いかけ回したりといった大げさな身体の動きによって笑いを生み出すコメディの手法を指します。「slapstick comedy(ドタバタ喜劇)」という形でもよく使われ、チャーリー・チャップリンの映画やアニメの『トムとジェリー』、また、バッグス・バニーなどでお馴染みの「ルーニー・テューンズ」シリーズ(ワーナー・ブラザーズ制作のアニメシリーズ)などに見られる笑いが代表的です。

例文

Some of it’s very broad, some of it’s very subtle, some of it’s ironic, some of it’s very Looney Tunes and slapstick.
(とてもわかりやすい笑いもあれば、さりげない笑い、皮肉の効いた笑いもあります。『ルーニー・テューンズ』のような、ドタバタしたコメディもありますね。)


今回のトークショーでは、映画の製作やキャスティングの舞台裏だけでなく、作品に込められたテーマについてもさまざまな話が語られました。

なかでも印象的だったのは、エイリアンの視点を通して「人間とは何か」を描こうとするゼルナー兄弟のアプローチです。人間の感情を一種の弱点として捉えるエイリアンたち。しかし、感情を持つことは、本当に弱さなのでしょうか。

トークでは、SNSやインターネットによって世界中の人々がつながる一方、孤独感が広がり、オンライン上の自分と現実の自分との間に葛藤が生まれている現代社会についても言及されました。「2026年の今この映画が公開されたことで、まるでドキュメンタリーのようにも見えるのではないか」とケイト・ブランシェット氏は言います。

ユーモラスなSFコメディでありながら、人間の複雑さや感情のあり方にも目を向けた『アルファ・ギャング』。最後にケイト・ブランシェット氏は、映画の製作は本当に楽しい経験だったと振り返り、その喜びが観客にも伝わっていればうれしいと語りました。
映画づくりへの情熱や作品に込められた思いを、登壇者自身の言葉から知ることのできる、貴重なトークショーとなりました。

第39回東京国際映画祭は11月4日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。


名称:第39回東京国際映画祭
主催:公益財団法人ユニジャパン(第39回東京国際映画祭実行委員会)
共催:経済産業省 国際交流基金(アジア文化交流強化事業)東京都(コンペティション部門、ユース部門、ウィメンズ・エンパワーメント部門、アジア学生映画コンファレンス部門、ワーク・イン・プログレス)
期間:2026年10月26日(月)~11月4日(水)

David Zellner(デヴィッド・ゼルナー)
アメリカ出身の映画監督・脚本家・俳優。弟のネイサンと「ゼルナー兄弟」として映画制作を行う。菊地凛子主演の『トレジャーハンター・クミコ』(2014年)や『サスカッチ・サンセット』(2024年)などを手がけ、独創的な作風で知られる。

Nathan Zellner(ネイサン・ゼルナー)
アメリカ出身の映画監督・脚本家・俳優。兄のデヴィッドとともに映画制作に取り組み、監督だけでなく、脚本や製作、編集、出演など幅広く携わる。代表作に『トレジャーハンター・クミコ』(2014年)、『ダムゼル』(2018年)、『サスカッチ・サンセット』(2024年)など。

Cate Blanchett(ケイト・ブランシェット)
オーストラリア出身の俳優・プロデューサー。『アビエイター』(2004年)と『ブルージャスミン』(2013年)でアカデミー賞を2度受賞。『TAR/ター』(2022年)など数々の話題作に出演するほか、製作会社Dirty Filmsを通じて映画製作にも携わっている。