【例文付き】どっちも「〜前」? “ago” と ”before”の違いとは
I saw your dog 5 days ago.
(私は5日前にあなたの犬を見ました。)
I told her that I had seen her dog 5 days before.
(私は彼女に、5日前にその犬を見たと話しました。)
この2つの文、どちらも「5日前」という表現が使われていますね。
ago と before はどちらも「〜前」と訳されますが、実は使い方にははっきりした違いがあります。
今回は、その違いを基準となる「時間のとらえ方」に注目して整理していきましょう。
“ago” と ”before”の使い方の違い
・ago は「今を基準にして“どのくらい前か”」
・before は「そのとき(過去のある時点)を基準にして“さらに前”」
を表します。
つまり、どちらも「〜前」と訳されますが、“どの時点から見て前なのか”が違っています。
日本語では「今より前」や「その時より前」という違いは文脈で理解できるため、わざわざ言い分ける必要がありません。そのため、日本語では同じ「〜前」で表せてしまうのです。
この違いを踏まえて、もう一度最初の文を見直してみましょう。
I saw your dog 5 days ago.
→ 「今から見て5日前」の話。
I told her that I had seen her dog 5 days before.
→ 「彼女に話した時」から見て「5日前」の話。
このように、時間の基準を意識して捉えると、2つの表現が異なることがわかります。
“ago” と ”before”の例文
それぞれの使い方を例文で確認してみましょう。
ago は「今の時点」からどれくらい前かをあらわします。基準が「現在」なので、必ず過去形の文で使われます。
・I met her two years ago.
(私は2年前に彼女に会いました。)
・We moved here a month ago.
(私たちは1か月前にここに引っ越してきました。)
・I bought this bag three days ago.
(私は3日前にこのバッグを買いました。)
・He finished his homework an hour ago.
(彼は1時間前に宿題を終えました。)
・They started the project a week ago.
(彼らは1週間前にそのプロジェクトを始めました。)
どの文にも、時間を表す後の前に「今から」を追加できますね。
続いてbefore は、「過去のある時点」から見て「〜前」を表すため、過去完了形や間接話法のthat節で使われることが多くなります。
・I had met her two years before.
(私はその2年前に彼女に会っていました。)
・He said he had visited Japan three years before.
(彼は3年前に日本を訪れたと言いました。)
・She told me she had lived in Tokyo five years before.
(彼女は5年前に東京に住んでいたと私に話しました。)
・We had talked about that problem a week before.
(私たちは1週間前にその問題について話していました。)
・My father mentioned he had seen that actor a long time before.
(父は、その俳優をずっと前に見たことがあると言いました。)
これらの文では、相手と話していた「そのとき」からさかのぼって時間を表しています。
単独で用いる “before”
さらに、before には「これまでに」「以前に」という意味で、「期間」や「基準となる時点」を取らずに単独でも使われることがあります。
この場合、過去形や現在完了形であらわされることが多くなります。
“ago”は単独で用いることができないため注意しましょう。
・I have seen that movie before.
(私はその映画を前に見たことがあります。)
・She had never been there before.
(彼女はそれまでそこに行ったことがありませんでした。)
・We met before, didn’t we?
(以前に会ったことがありますよね?)
まとめ
英語では、同じ「〜前」でも「今より前」なのか「その時より前」なのかで使う単語が変わります。
和訳で考えると少しわかりにくく感じるかもしれませんが、日本語では見えにくいこの違いを意識して使い分けると、文の時間感覚を正しく示せるようになります。
自分の経験を英語で言い換えながら、“ago” と “before” の感覚をつかんでいきましょう。
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