英語でシネマ: 『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』で学ぶ、「自信」と「野心」の英語

© 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.
映画やドラマのセリフには、その人物の生き方や価値観が凝縮されています。とりわけスポーツを題材にした作品では、「勝つ」「世界一になる」といった強い言葉で、主人公の信念そのものが映し出されることが多くあります。
今回の「英語でシネマ」で取り上げるのは、2026年3月13日(金)日本公開の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(原題:Marty Supreme)。卓球という競技を舞台に、世界一を目指す若きプレイヤーの野心と自信を描いた話題作です。
主人公マーティを演じるのはティモシー・シャラメ。本作で彼が体現するのは、女ったらしで、嘘つきで、自己中心的。それでもどこか憎みきれない、“最高にサイテーな男”です。靴屋の販売員としてくすぶりながらも、卓球で世界チャンピオンになるという野望を胸に、現実から這い上がろうとするマーティ。その危うくも大胆な人物像が、本作の大きな魅力となっています。
共演にはグウィネス・パルトロウ、タイラー・ザ・クリエイターらも名を連ね、幅広い層から注目を集めています。北米では限定公開ながら異例の興行成績を記録し、その後の全米公開でも勢いを維持。インディペンデント系スタジオA24の歴代記録を塗り替えるヒットとなりました。
また、本作に登場するセリフは、日常会話に近い言い回しやテンポの速い口調が多いのも特徴です。登場人物たちのやり取りを追いながら、実際の会話に近い英語表現に触れることができます。
今回は予告編のセリフから、そんなマーティの人物像と野心をのぞいてみます。ティモシー・シャラメが今回演じる“サイテー男”は、どんな人物なのか。本編公開前に、彼や登場人物たちの言葉から想像してみましょう。

マーティは「ナルシスト」
では、予告編からセリフをチェックしていきましょう!
(0:17)
女性がマーティに向かって:
Shush yourself, you narcissistic prick!
公式字幕
「ナルシストのゲス!」
emoji_objectsPick up English expressions
「自己愛的な」「自己陶酔的な」
日本語の「ナルシスト」にあたる英語は narcissist ですが、ここではその形容詞形 narcissistic が使われています。「ナルシストだ」と名指しするのではなく、「自己愛的な」という性質を強調する言い方です。
日本語の「ナルシスト」にあたる英語は narcissist とつづり、実際の発音は「ナルシシスト」と「シ」の音が一つ多くなります。
Shush yourself は「黙ってろ」という強めの言い方で、prick は「嫌なやつ」「最低なやつ」といった意味で使われます。
全体を直訳に近い形で見ると、
「黙ってろ、この自己陶酔的な嫌なやつ!」というニュアンスになります。
予告編では、自信満々で奔放なマーティの姿が多く描写されています。周囲を巻き込みながら自信に満ちた言動を繰り返す彼の姿が、周囲には「自己陶酔的」に映っているようです。そんな彼の印象や評価が、本編ではどのように変化していくのか注目ですね。
世界一を疑わないマーティ
(0:23)
マーティ:
Because I’m gonna step up.
In a way you can’t even imagine.
公式字幕:
「俺が金を稼ぐ!
卓球のチャンピオンになって」
emoji_objectsPick up English expressions
「一段階レベルを上げる」「前に出る」「本気を出す」
step up は、自分のパフォーマンスや行動を引き上げるという意味でよく使われます。また、必要な場面でより積極的な役割を担うというニュアンスを持つこともあります。
step up は、「ギアを上げる」「本気を出す」というニュアンスと、「支えられない」という状況に対しての「自分が責任を取る」「自分が状況を変える側に回る」という決意のどちらも感じ取れる表現です。
Because I’m gonna step up.は、直訳すると、「だって、俺が前に出るからだ。」となりますが、公式字幕では「俺が金を稼ぐ!」と具体的に補われています。英語では俺がやる、という宣言にとどまっていますが、日本語では俺が金を稼ぐ、という目的が明確に示されています。
続くIn a way you can’t even imagine.は、「あなたが想像もできないやり方で」という意味です。
字幕では「卓球のチャンピオンになって」と到達点を示していますが、英語ではどうやって成し遂げるのかはあえて具体的に語られていません。「あなたが想像できないやり方で」という言葉の余白が、マーティの自信や大胆さを印象づけていますね。
マーティは一貫して強い言葉で言い切っており、自分の可能性を疑っていない様子がうかがえます。それがどの程度現実的な見通しに基づいたものなのかは、予告編だけではわかりませんが、本編では、この言葉がどのように具体化されていくのかにも注目したいところです。

自信とともに生きている
(0:33)
マーティ:
I live with the confidence that if I believe in myself, and money will follow.
公式字幕:
「自信さえあれば金は稼げる」
emoji_objectsPick up English expressions
「〜と共に生きる」「〜を抱えて生きる」
live with は、ある感情や状態が一時的なものではなく、日常の一部として続いていることを表す言い回しです。考えや価値観が“常にそばにある”感覚を伝えるときにも使われます。
この文は直訳すると、
I live with the confidence that if I believe in myself, and money will follow.
「俺は、自分を信じているという自信とともに生きている。そして、金は後からついてくる。」となります。
ここで印象的なのは、I’m confident (自信がある)ではなく、I live with the confidence (自信とともに生きている)と言っている点です。
live with〜 を使うことで、自信が一時的な感情ではなく、当たり前にあるものになっているようなニュアンスを持ちます。
続く money will follow は、「お金は後からついてくる」という表現です。「自信があれば結果として金はついてくる」という発想が示されています。
公式字幕では「自信さえあれば金は稼げる」と簡潔にまとめられていますが、英語の構造では「自信と共に生きる」という前提があり、その結果として money will follow が続きます。
お金そのものを目標にするのではなく、「自信があれば結果は後からついてくる」と自信満々に語る。先ほどのセリフからも伺える「自分の可能性を疑わない」マーティのスタンスには、その大胆な発想によるものだったようですね。
まとめ
いかがでしたか? 予告編の短いフレーズの中にも、マーティの自信、焦り、そして危うさが詰まっています。本編を見る前にそのニュアンスを意識しておくと、彼の選択や失敗の重みが、より立体的に感じられるはずです。
女ったらしで、嘘つきで、自己中心的。それでも「ナンバーワンになる」と言い切るマーティは、果たして本当に世界一になれるのでしょうか。そして彼が追い求める“ナンバーワン”の先にあるものとは何なのか。
予告編の言葉を手がかりに、本編でマーティがどんな選択をするのかを想像しながら、本編の公開を待ちたいですね。
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』

STORY
1952年のニューヨーク。ロウアー・イースト・サイドの靴屋で働くマーティ・マウザーは、販売員としての腕を認められながらも、心の中では別の野望を抱いている。卓球で世界一になること。その確信にも似た自信が、彼を突き動かしている。
資金を工面し、イギリスで開催される世界卓球選手権へと乗り込んだマーティは、持ち前の才能と大胆さで勝ち進む。しかし、予想外の敗北とともに、彼の強気な人生設計は大きく揺らぐことになる。
借金、訴訟、恋人の妊娠、出場停止処分。次々と現実に直面しながらも、なお「ナンバーワン」を目指そうとするマーティ。自信と野心を武器に突き進む彼が、最後に見つけるものとは―。
3月13日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
監督・脚本:ジョシュ・サフディ
出演:ティモシー・シャラメ(『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』)、グウィネス・パルトロウ(『アベンジャーズ』シリーズ)、 オデッサ・アザイオン(『ヘルレイザー』)、ケビン・オレアリ―、タイラー・オコンマ(タイラー・ザ・クリエイター)
2025年/アメリカ/英語/149分 原題:Marty Supreme 配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.
『英語でシネマ』おすすめ記事はこちら!

