英語でシネマ:『マテリアリスト 結婚の条件』で学ぶ、「現代の恋愛観」を映した英語

理想と現実のあいだで揺れる恋愛で、私たちは何を基準に「この人だ」と思うのでしょうか。
今回の「英語でシネマ」で取り上げるのは、『マテリアリスト 結婚の条件』(原題:Materialists)。ニューヨークの婚活市場を舞台に、現代の恋愛と結婚のリアルを描いたロマンティック・ラブストーリーです。
Materialistとは、「物質主義者」という意味で、物質的な豊かさや所有物を重視する人のこと。恋愛や結婚においては、相手の愛情や人柄よりも、経済力や社会的地位といった“条件”を重視する人を指すこともあります。タイトルの『Materialists』は、現代の恋愛や結婚におけるシビアな価値観を示しているともいえるでしょう。
そんな本作で主人公ルーシーを演じるのはダコタ・ジョンソン。結婚相談所で“マッチメーカー”として働き、数々のカップルを成立させてきた彼女は、恋愛を感情だけでなく「資産価値」という視点からも冷静に判断するプロフェッショナルです。そんな彼女が出会うのは、すべてが“理想的”な大富豪ハリーと、かつて愛し合いながらも別れた元恋人ジョン。条件としての結婚か、それとも愛か――彼女の価値観は大きく揺さぶられていきます。
共演にはクリス・エヴァンス、ペドロ・パスカルといった豪華キャストが名を連ね、それぞれ異なる魅力を持つ二人の男性像が物語に奥行きを与えています。A24製作、前作『パスト ライブス/再会』が絶賛されたセリーヌ・ソン監督による本作は、全米公開時にも大きな話題を呼び、現代の恋愛観を映し出す作品として注目を集めています。
また、本作に登場するセリフは、恋愛や結婚に対する価値観が率直に表れたものが多く、現実の会話にも近いテンポと表現が特徴です。登場人物たちのやり取りを追いながら、実際に使える英語表現に触れることができます。
今回は予告編のセリフから、そんなルーシーの選択と葛藤をのぞいてみます。愛か条件か――彼女はどんな決断を下すのか。本編公開前に、その言葉から物語を想像してみましょう。
私にふさわしい男性
0:08
I deserve someone who fulfills all of my criteria.
公式字幕:この条件すべてに合う人を紹介して
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「〜に値する」「〜を受けるにふさわしい」
deserve は、「自分にはそれを得る価値がある」と考えるときに使う表現です。I deserve someone と言うことで、「自分にふさわしい相手がいるはずだ」という強い自己認識が表れます。
who fulfills all of my criteria は、「自分の条件をすべて満たす人」という意味です。criteria は「基準・条件」を表すややフォーマルな語で、恋愛や理想像について語るときにも使われます。
これは、「マッチメーカー」である主人公ルーシーに対して、顧客の女性が条件を提示するシーンでのセリフです。大量の条件リストとともにこの一言を口にする姿からは、「自分にふさわしい相手はこれだけの条件を満たして当然だ」という強い意識が感じられます。
顧客とのやり取りから、ルーシーの仕事がどのようなものなのか見えてきますね。恋愛を感情だけでなく「条件」や「基準」で整理し、最適な相手を見つけていく。その一方で、こうした理想をどう現実に落とし込むのか、なかなか一筋縄ではいかない仕事でもありそうです。
彼女は多種多様な要求にどう向き合い、どのような答えを導き出していくのでしょうか。本編で描かれるマッチメイカーとしての手腕に注目したいですね。

永遠に独身?
0:19
Lucy, and the eternal bachelorette?
Voluntary celibate.
公式字幕:
友人:自分は独身のまま?
ルーシー:独りが好きなの
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「永遠の独身女性」「ずっと結婚しない女性」
bachelorette は「未婚女性」を指す言葉で、eternal(永遠の)をつけることで、「ずっと独身のままの人」というニュアンスになります。
この文は疑問形になっていますが、「まだ独身のままなの?」と軽くからかうような、少し皮肉や冗談を含んだ言い方です。
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「自発的に恋愛・性的関係を持たない人」
celibate は「禁欲的な」「独身を貫く」といった意味を持つ語で、ややフォーマルな響きがあります。そこに voluntary(自発的な)を加えることで、「やむを得ずではなく、自分の意思でそうしている」というニュアンスが強調されます。
対照的な表現として involuntary celibate(非自発的な禁欲主義者)という言い方もあり、これは “incel” という言葉のもとになっています。incel は、恋愛や性的関係を望みながらもそれが叶わない人々を指す言葉として広まりましたが、現在ではインターネット上の一部コミュニティや思想と結びつき、女性への敵意や社会への不満といった文脈で語られることも多くなっています。
そのため voluntary celibate は、それとは対照的に、「恋愛しないことは自分で選んでいる」というスタンスを、少しユーモアや皮肉を込めて示す表現として使われているのが特徴です。
ルーシーと友人が軽口を交わしているシーン。マッチメーカーとして人の恋愛や結婚を導いているルーシーに対して、友人が「自分自身はどうなの?」と少しからかいながら質問しています。
eternal bachelorette と言われたルーシーが、voluntary celibate と返すことで、「独身なのは恋愛できないからではなく、独りでいることを自分で選んでいる」というスタンスをユーモラスに示しています。
仕事では“理想の相手”を冷静に見極める彼女ですが、自分の恋愛にはどう向き合っているのか。この軽やかな会話の中にも、ルーシー自身の価値観や葛藤が垣間見えるシーンですね。本編で描かれる彼女の恋愛の行方にも注目したいところです。

偶然の出会い
0:33
Definitely didn’t expect to run into you tonight.
公式字幕:また君に会えるとは
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「偶然会う」「ばったり出会う」
run into は、「予期せず誰かに会う」という意味の口語表現です。Definitely didn’t expect と組み合わせることで、「本当に会うとは思っていなかった」という驚きが強調されます。
to run into you tonight は、「今夜あなたに会うなんて」という意味で、偶然性と少しの喜びを含んだ自然な会話表現です。
このシーンは、ルーシーが元恋人ジョンと再会する場面でのジョンのセリフです。思いがけない再会に驚きながらも、その言い方からはどこか嬉しさや懐かしさも感じられます。
run into you というカジュアルな表現が使われていることで、偶然の出来事でありながらも、二人の距離感の近さがにじむのも印象的です。過去に深い関係があったことを自然に感じさせる一言です。
この再会をきっかけに、二人の関係がどのように明かされていくのか、そして再び動き出すのか。作品の展開にも大きく関わっていく、重要な場面になりそうですね。
どうして結婚なんて
0:50
Why does anyone even get married?
公式字幕:人は なぜ結婚を?
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「そもそもなぜ〜するの?」
Why does anyone even ~ ? は、「そもそも誰がそんなことをするの?」というように、疑問や不満、あきれた気持ちを含んだ言い方です。
even を入れることで、「わざわざそんなことをする意味があるのか」というニュアンスが加わります。get married は「結婚する」という表現で、全体としては「そもそもなんで人は結婚なんてするの?」という少しシニカルな一言になります。
このシーンは、ルーシーとジョンが「結婚とは何か」を見つめ直すような会話をする中で交わされる一言です。Why does anyone even get married? という言い方には、「本当に意味があるのか」という根本的な疑問が含まれており、これまでの経験や価値観がにじむ表現でもあります。
この一言は、物語全体が描こうとしているテーマそのものを問いかけているようにも感じられますね。果たして二人は、それぞれにとっての「結婚の意味」にどんな答えを見つけていくのでしょうか。本編での展開が気になる印象的なセリフです。

まとめ
いかがでしたか? 予告編の短いセリフの中にも、ルーシーの価値観や葛藤、そして「結婚」というテーマに対するさまざまな視点が詰まっていました。
今回取り上げたのは、理想や条件をめぐる会話、過去の関係がにじむ再会、そして結婚そのものを問い直す一言まで、本編の展開を読み解くヒントとも言える言葉たちです。それぞれのセリフがどんな場面で使われ、どんな意味を持つのかを想像しながら観ることで、物語の奥行きがより感じられるはずです。
本作は、「愛か条件か」というシンプルでありながら答えの出ない問いを通して、現代の恋愛や結婚のリアルを描いています。理想と現実のあいだで揺れるルーシーが、どんな選択をしていくのか――その過程で見えてくる“結婚の意味”にも注目したいところです。
予告編の言葉を手がかりに、彼女の選択とその行方を想像しながら、本編の公開を楽しみに待ちたいですね。
マテリアリスト 結婚の条件
A24製作 × 『パスト ライブス/再会』 セリーヌ・ソン監督 最新作
ダコタ・ジョンソン × クリス・エヴァンス × ペドロ・パスカル
NYを舞台に現代の婚活市場を描く、ロマンティック・ラブストーリー

5月29日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督・脚本:セリーヌ・ソン(『パスト ライブス/再会』)
キャスト:ダコタ・ジョンソン(『フィフティ・シェイズ』シリーズ、『マダム・ウェブ』)、クリス・エヴァンス(『キャプテン・アメリカ』シリーズ)、ペドロ・パスカル(『エディントンへようこそ』「ナルコス」シリーズ、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』)
2025年製作/アメリカ/116分/英語/カラー/ビスタ/5.1ch/
原題『Materialists』/日本語字幕:牧野琴子
https://happinet-phantom.com/materialists/
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