プライド月間(Pride Month)にまつわる英語表現を知ろう

6月は、「プライド月間(Pride Month)」と呼ばれる月です。

プライド月間は、LGBTQ+コミュニティへの理解や尊重を広げるための月で、毎年6月に世界各地でイベントやパレードなどが行われています。
この時期になると、海外では企業やブランドのロゴが虹色になったり、SNSで LGBTQ+コミュニティへの支持や、多様性を尊重するメッセージが多く投稿されます。
虹色のロゴは、「レインボーフラッグ」と呼ばれる旗をもとにしたデザインです。レインボーフラッグは、LGBTQ+コミュニティの多様性や尊重を象徴するものとして知られています。

また、6月がプライド月間になっている背景には、1969年6月にアメリカ・ニューヨークで起きた ストーンウォール事件*があります。
当時のアメリカでは、LGBTQ+の人たちへの差別や不当な扱いが今より強く、警察による取り締まりも頻繁に行われていました。
1969年6月27日深夜、ニューヨークの「ストーンウォール・イン」というゲイバーで起きた警察の踏み込みに対し、店にいた人々や周囲の人たちが抗議したことで、大きな衝突へと発展します。

この出来事は、その後のLGBTQ+の権利運動の大きな転機になったと言われています。

翌年、1970年6月の最終日曜日、「ストーンウォール事件」の1周年を記念するデモ行進がアメリカ各地で行われ、それがその後、世界中に広がっていきました。現在では、このようなイベントは「プライドパレード」と呼ばれ、世界各地で開催されています。

プライド月間には、ニュースやSNSで、LGBTQ+コミュニティに関連するさまざまなワードを見かけることが増えるかもしれません。今回は、プライド月間をきっかけに覚えておきたい英単語や英語表現をご紹介します。

LGBTQ+とは?

まず、LGBTQ+コミュニティの 「LGBTQ+」 の意味を確認しておきましょう。

「LGBTQ+」 は、さまざまな性のあり方を表す言葉です。それぞれの文字は、次のような言葉の頭文字になっています。

L = Lesbian(レズビアン)
女性を恋愛対象とする女性

G = Gay(ゲイ)
男性を恋愛対象とする男性。同性を恋愛対象とする人、として広い意味で使われることもあります。

B = Bisexual(バイセクシュアル)
男性・女性の両方を恋愛対象とする人

T = Transgender(トランスジェンダー)
生まれたときに割り当てられた性別と、自分が認識している性別が異なる人

Q = Queer / Questioning(クィア / クエスチョニング)
Queer は、既存の性別や恋愛の枠組みに当てはまらない人を表す言葉として使われることがあります。
Questioning は、自分の性別や性的指向が定まっていない/定めない人を指します。

最後についている +(プラス) には、「これ以外にも多様な性のあり方がある」という意味が含まれています。

日本語では「LGBT」という表現を見かけることも多いですが、英語圏では 「LGBTQ+」や 「LGBTQIA+*」 のように、より幅広い表現が使われることもあります。

※・I (Intersex / インターセックス):染色体、ホルモン、生殖器などの身体的性特徴が、一般的な男女の二分法に必ずしも当てはまらない状態で生まれてくる人。
・A (Asexual / アセクシュアル or Aromantic / アロマンティック): 他者に対して恋愛感情や性的欲求を抱かない、あるいは抱きにくい人。

LGBTQ+コミュニティにまつわる英語表現

ではここから、プライド月間の時期によく見かける、LGBTQ+コミュニティにまつわる英語表現を紹介していきます。

・Pride

「プライド月間(Pride Month)」や「プライドパレード(Pride Parade)」に使われている Pride は、ご存知の通り、もともとは「誇り」を意味する英単語です。

一方で、現在の英語圏では、Pride という言葉は LGBTQ+コミュニティに関するイベントや運動を指す言葉としても広く知られています。

たとえば、

Pride Month(プライド月間)
Pride Parade(プライドパレード)
Tokyo Pride

のように使われ、LGBTQ+コミュニティへの理解や尊重を広げるためのイベントや活動を表す言葉として定着しています。

また、ここで使われる Pride には、単なる「自慢」や、日本語で言う「プライドが高い」のようなニュアンスはあまりありません。

長い間、LGBTQ+の人たちは、自分の性のあり方を隠さなければならない場面が多くありました。そうした背景があるため、ここでの Pride には、「ありのままの自分に誇りを持つ」というニュアンスが込められています。
現在では、Pride という言葉そのものが、多様性や尊重を象徴する言葉として世界的に広く使われています。

例文
“Many cities hold Pride parades every June.”
「多くの都市では、毎年6月にプライドパレードが行われます。」

・ally

ally(アライ) は、LGBTQ+当事者ではなくても、その人たちを理解し、支援する人を指す言葉です。

もともと allyは、「同盟国」や「味方」という意味の英単語です。ニュースでは allied forces(連合軍)のような表現で見かけることもあります。

そこから意味が広がり、現在では「誰かを支える立場の人」という意味でも使われるようになりました。

日本語では「支援者」と訳されることがありますが、“ally” は単に「助けてあげる人」というより、「対等な立場で理解しようとする人」というニュアンスが強い言葉です。

海外の企業や学校では、

“How to be a better ally”
“We support LGBTQ+ employees and allies.”

のような表現をよく見かけます。

例文
“Our company supports LGBTQ+ employees and allies.”
「私たちの会社は、LGBTQ+の社員と、その支援者をサポートしています。」

・pronouns

pronouns は、「代名詞」を意味する英単語です。
SNSのプロフィール欄やオンライン会議の名前欄などに、

・she/her
・he/him
・they/them

というように、代名詞が記載されているのを見かけたことはあるでしょうか。
これは、「自分がどの代名詞で呼ばれたいか」を示しているものです。

英語では、会話の中で he や she を頻繁に使うため、「どの代名詞を使うか」が日本語より重要になる場面があります。

特に、トランスジェンダーの人や、自分を男性・女性のどちらにも当てはめない人にとっては、どの代名詞で呼ばれるかが大切な意味を持つことがあります。

そのため英語圏では、「相手が望む代名詞を尊重しよう」という考え方が広がっています。

最近では、プロフィール欄や自己紹介に自分の pronouns (代名詞)を書くことで、「自分はこの呼び方を使ってほしい」と伝える人も増えています。

また、they は本来「彼ら」という複数形ですが、最近では「性別を限定しない単数形」として使われることも一般的になっています。

プライド月間の時期には、

“Please respect people’s pronouns.”
“Share your pronouns.”

のような表現を、企業や学校のSNSで見かけることもあります。

例文
“My pronouns are she/her.”
「私の代名詞は she/her です。」

“Alex uses they/them pronouns.”
「Alex は they/them の代名詞を使っています。」

・safe space

safe space は、直訳すると「安全な場所」という意味ですが、英語では「心理的に安心して過ごせる場所」という意味で使われることが多い表現です。

他者からの批判、差別、暴力、精神的なプレッシャーを受けることなく、心理的・物理的に「安心・安全」でいられる場所や環境のことを指していて、教育やメンタルヘルス、多様性に関する場面などで広く使われてきました。

LGBTQ+の人たちは、学校や職場、家庭などで、自分の性のあり方について話しづらさを感じたり、偏見や差別を経験したりすることがあります。そのため、「安心して自分らしくいられる場所」を持つことが大切だと考えられています。

また、企業や施設について、

LGBTQ+ friendly
LGBTQ+ inclusive

のような表現を見かけることもあります。

これは、「LGBTQ+の人たちを歓迎している」「安心して利用できる環境を目指している」という意味で使われています。

例文
“We want to create a safe space for everyone.”
「私たちは、誰もが安心して過ごせる場所を作りたいと考えています。」

“The café is known as an LGBTQ+ friendly safe space.”
「そのカフェは、LGBTQ+フレンドリーな安心できる場所として知られています。」

・Love is love

“Love is love” は、直訳すると「愛は愛」ですが、「愛に優劣や区別はない」という意味のフレーズで、LGBTQ+の権利や、多様な愛の形を認めようというメッセージとして世界中で広く使われています。

このフレーズが世界的に広まった大きなきっかけのひとつが、2015年にアメリカで同性婚が全州で合法化されたことです。その際、SNSでは #LoveIsLove というハッシュタグが爆発的に広まり、多くの企業や著名人、一般ユーザーがこの言葉を投稿しました。

現在では、プライドパレードやプライド月間のイベント、企業のSNS投稿などでも頻繁に使われています。

このフレーズには、相手の性別、国籍、年齢、文化の違いなどに関係なく、「人を愛する気持ちは等しく大切だ」という考え方が込められています。

・come out

“come out” は、性的指向や性自認について周囲に伝えることを意味する表現です。
日本語でも「カミングアウトする」という言い方が広く使われていますが、これは英語の coming out に由来しています。

 “come out” はもともと、「外に出る」という意味の一般的な表現です。

LGBTQ+の文脈では、“come out of the closet(クローゼットから出る)” という表現が由来になっています。ここでの “closet” は、「隠している状態」をたとえたものです。

come out は、もともと「出てくる」「現れる」という意味の一般的な表現ですが、

“He came out.”
“She came out to her family.”

のように人に対して使うと、「自分の性的指向や性自認について周囲に伝えた」という意味で理解されることが多いです。

例文
“He talked about his coming out experience.”
「彼は、自分がカミングアウトしたときの経験について話しました。」

“He came out to his friends last year.”
「彼は去年、友人たちに自分のことを打ち明けました。」

プライド月間をきっかけに、LGBTQ+コミュニティの言葉に触れてみよう

英語表現を学ぶことは、単語の意味を知るだけでなく、その言葉が使われている社会や文化に触れることでもあります。

今回紹介した言葉や表現も、プライド月間やLGBTQ+コミュニティについて知るためのひとつの入り口になります。ニュースやSNSで見かけた表現の意味が分かると、その背景にある歴史や、社会の中で行われている取り組みにも目を向けやすくなりますね。

プライド月間をきっかけに、言葉の意味だけでなく、その言葉がどのような思いとともに使われているのかにも少し関心を広げてみると、英語を通して見える世界も少し広がるかもしれません。


*ストーンウォール事件:https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/glossary/sa/1.html