なぜ今、読書がアツい?
韓国発「テキストヒップ(text-hip)」と日本の新しい本文化

最近、SNSなどで「テキストヒップ」という言葉を見かけることはありますか?
テキストヒップとは、韓国の若い世代を中心に広がっている新しい読書カルチャーのこと。
動画やショートコンテンツが身近になった今、あえて本を読んだり、文章を書いたりすることを「かっこいい」「おしゃれ」と捉える動きが広がっています。
そして、この読書をめぐる新しいカルチャーは、日本でも少しずつ感じられるようになってきました。
個性的な本屋を訪れたり、読んだ本をSNSやアプリに記録したり、友達と本を贈り合ったり。
今回は、いま注目を集める「テキストヒップ」の意味から、流行している理由、日本の気になる書店、SNSで話題の「Book Date」まで紹介します。
テキストヒップとは?
「テキストヒップ(Text Hip)」とは、「文章」を意味するTextと、「かっこいい」「流行している」といった意味を持つHipを組み合わせた言葉です。
韓国では2024年ごろから若者を中心に広がり、単に本を読むだけでなく、読書そのものを自分のライフスタイルや感性の一部として楽しむカルチャーとして注目されています。
たとえば、
・カフェで本を読む
・おしゃれな書店を巡る
・気に入った文章をノートに書き写す
・読んでいる本をSNSに投稿する
・本と一緒に写真を撮る
といった楽しみ方も、テキストヒップのひとつ。
スマートフォンで動画を見ることが当たり前になった今だからこそ、「紙の本を開いて文字を読む」というアナログな行為が、逆に新鮮に映っているのかもしれません。
韓国では、2025年のソウル国際ブックフェアで事前予約の入場券15万枚が完売し、来場者の7〜8割が20〜30代の女性だったとも報じられています。
なぜ今読書が流行しているの?
では、なぜ今、若い世代の間で読書が注目されているのでしょうか?
ひとつの理由として考えられるのが、SNSとの相性です。以前の読書は、ひとりで本を読んで終わることも多い趣味でした。しかし今は、読んだ本や好きな文章をInstagramやTikTokなどに投稿したり、誰かの投稿を見て次に読む本を決めたりすることもできます。
つまり読書が、「読む」だけでなく「記録」したり「共有」するものへと広がっているのです。
2026年に韓国で報じられた読書動向でも、若い世代の読書が「読む」ことから「記録・共有」する文化へ変化していることが指摘されています。
また、K-POPアイドルの存在も大きいようです。IVEのウォニョンをはじめ、LE SSERAFIMやBLACKPINKのメンバーが本を読んでいる姿が話題になったり、BTSのRMが紹介した本が注目を集めたりと、「推しが読んでいる本を自分も読んでみたい」という動きも生まれています。ファッションや音楽と同じように、「何を読んでいるか」がその人の好みや価値観を表すものになりつつあるのです。
韓国の次は日本?今、本屋がおもしろい
韓国で広がっているテキストヒップ。
まったく同じ形ではないものの、日本でも「本を買う場所」だけではない、新しいスタイルの書店が注目されています。
経済産業省も「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げ、2024年秋頃から公式ウェブメディアで連載・企画会議「今どきの本屋のはなし」を発足・展開し、書店を本と人、文化が出会う場所として紹介しています。
そこで、編集部おすすめの、今訪れてみたい個性的な本屋をいくつか紹介します。
・文喫 六本木
東京・六本木にある「文喫」は、「文化を喫する、入場料のある本屋」。
約3万冊の本が並び、閲覧室や喫茶室などでゆっくり本と向き合うことができます。
本を「買う」だけではなく、本のある空間そのものを楽しめるのが特徴です。企画展やトークイベントなども定期的に開催されています。
購入する本をじっくり吟味して選びたい方、特別な一冊に出会うまでの時間そのものを楽しみたい方におすすめです。
・magmabooks
2025年、東京・虎ノ門にオープンした、丸善ジュンク堂書店による新業態の書店「magmabooks」。
「知は熱いうちに打て」をコンセプトに、本を読む前、読んでいる間、読んだ後まで含めて「読書体験」と考えている新しいスタイルの書店です。
ジャンルを横断して本と出会える「知の森」や、問いを持ちながら書棚を巡る「問い散歩」、読書後のアウトプットにも使えるラウンジなどが用意されています。
本との偶発的な出会いを求めている方や、読書を通じて自分の知識を拡張したいと考えている方にはぜひ一度訪れて欲しい場所です。
・本と音楽 紙片
広島県尾道市にある「紙片」は、本とCDを扱う小さな書店です。
路地を進んだ先にある店内は、本屋でありながらアート空間のような雰囲気。店主が選んだ本や音楽との偶然の出会いを楽しめる場所として知られています。
居心地の良い空間で、旅のお供になる一冊を見つける体験は、旅の思い出をより特別なものにしてくれます。観光の目的地として「本屋へ行く」という楽しみ方も、テキストヒップ的かもしれませんね。
https://www.instagram.com/shihen_onomichi
・小さな本屋 Candlelight
東京・杉並区にある「Candlelight」は、約400冊の本が並ぶ小さな書店。哲学や社会、カルチャー、アートなど、さまざまな分野の本が揃っています。
ただ目的の本を買うのではなく、「自分では選ばなかったかもしれない一冊」に出会えるのも魅力です。
読書を通じて、新しい考え方や気づきを得るきっかけを提供してくれるような空間です。
SNSでじわじわ話題の「Book Date」って?
もうひとつ、読書にまつわる気になるトレンドが「Book Date(ブックデート)」です。
海外を中心に若者の間で広がり、日本でも今年に入ってじわじわと広がりつつあります。ブックデートのルーツとされているのが、「Blind Date with a Book」。タイトルや表紙がわからないように本をラッピングして販売し、中身を知らないまま一冊を選ぶという書店の企画です。
そこから派生し、現在のブックデートでは、友達や家族、恋人などに「この人が好きそう」と思う本を選び、タイトルが見えないようにラッピングして交換する楽しみ方が広がっています。
本だけでなく、栞やお菓子、シール、写真などを一緒に包む人も。本を読むことだけではなく、
「誰かのために本を選ぶ」
「かわいくラッピングする」
「どんな本が入っているのか楽しみに開ける」
という一連の時間そのものを楽しめるのがブックデートの魅力です。
これもまた、本が「読むもの」から「体験するもの」へ広がっている例と言えそうです。

読書をもっと楽しみたいなら「Reads」
こうした読書をシェアして楽しむ流れのなかで、読書記録や本との出会いに特化したSNSにも注目が集まっています。そのひとつが、読書のSNS&記録アプリ「Reads」です。
Readsでは、「読み終わった」という記録だけでなく、「買った」「読み始めた」「読んでいる」といった読書の途中も自由に残すことができます。さらに、本を買った書店や読んだカフェなどの場所、写真も一緒に記録できます。
また、ほかの人の読書記録を眺めながら、気になる本を見つけられるのも魅力です。フォロワー数や「いいね」の数を競うことを中心としたSNSとは少し違い、「本の話だけの穏やかなSNS」を掲げています。
読書の記録を残したり、誰かの一冊を参考にしたり。読む時間だけでなく、その前後まで楽しみたい人にぴったりのアプリです。
「読むこと」をもっと日常に
スマートフォンを開けば、短い動画や大量の情報が次々と流れてくる時代。
そんな今だからこそ、一冊の本を手に取り、ゆっくり文字を追う時間が新鮮に感じられるのかもしれません。
テキストヒップは、「たくさん本を読まなければならない」という読書ブームとは少し違います。
お気に入りの書店へ行ってみる。
気になる一冊を持ってカフェへ行く。
読んだ本を記録する。
友達に似合いそうな本を選んでみる。
そんなところから始めても十分です。
そして「読むこと」は、語学学習とも相性のいい習慣です。英語を勉強しているなら、興味のあるテーマの洋書や英語の記事を読んでみたり、気になった英語表現を書き留めたりするのもひとつの楽しみ方。勉強のために読むのではなく、「もっと知りたいから読む」。
そんな読書を日常に取り入れてみると、学習の時間も少し違って見えてくるかもしれません。
次の休日は、スマートフォンから少し離れて、本屋へ出かけてみませんか?




