パレスチナの人々を追い詰める飢えの現実

ガザにおける食料不足の実態

国連ニュースに掲載された記事によれば、ガザでは3人に1人が数日にわたって食べ物を口にできず、2万人以上の子どもが病院で栄養失調の治療を受けています。8月22日、国連が支援する機関「総合的食料安全保障レベル分類（IPC）」は、ガザ地区の一部地域における状況を正式に「飢饉（フェーズ5）」と宣言しました。フェーズ5はIPCが使用する分類で最も深刻な段階です。

フェーズ5が宣言されるのは、特定地域で急性栄養失調による死亡が明らかであり、5世帯に1世帯が「極端な食料不足に直面し、飢餓によって困窮状態にある」とされる場合です。さらに、飢餓によって1万人あたり2人の死亡が明らかでなければなりません。国連によると、ガザでは190万人以上が家を追われ、生活資源をすべて失いました。IPCの報告によれば、イスラエルは3月から4月の間、人道支援を一切ガザに入れませんでした。それ以降、ごく少量の援助が許可されましたが、全く不十分であり、国連の援助トラックの87％がイスラエル軍によって通行を阻止されました。

2024年末、国際刑事裁判所（ICC）はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアヴ・ガラント前国防相に対し、「戦争の手段としての飢餓」という戦争犯罪、および「殺人、迫害、その他の非人道的行為」という人道に対する罪で逮捕状を発行しました。

飢餓の拡大に対する国連の警告

英紙ガーディアンの記事によれば、ガザは完全な包囲と封鎖下にあり、イスラエルはここ数か月ほとんど食料や援助を受け入れていないため、パレスチナ人民に組織的な飢餓が広がっています。同記事は「イスラエル政府自身がまとめ公開したデータから、ガザを飢えさせていることは明らかだ」と述べています。国連事務総長アントニオ・グテーレスは声明で「ガザのパレスチナ人は途方もない規模の人道的破局に直面している」と発言しました。

絶え間ない爆撃の中では農業は不可能であり、パレスチナ人は自ら糧を得る手段を持てません。国連食糧農業機関（FAO）によれば、2023年10月以降、漁船のほとんどが破壊され、複数の漁師が沿岸での漁の最中に殺害されました。イスラエルの全面的な封鎖と援助の遮断により、5月から9月の間に5人に1人が飢餓に直面し、ガザ保健省は直近の数週間で154人が栄養失調で死亡したと発表しました。イスラエルの戦争犯罪に対する世界的な批判の中、ガザ人道基金がガザでの援助活動を開始しました。

ガザ人道財団（GHF）への批判

ガザ人道財団（GHF）は、イスラエルとアメリカが支援する組織で、ガザの危機を食料と援助で解決すると主張しています。外国からの圧力と批判が続いた後、このプロジェクトの責任者であるアメリカ軍退役者は辞任し、このプロジェクトは「人道性、中立性、公平性、独立性という人道原則に沿っていない」と述べました。

国連は繰り返し警告を発し、GHFだけではガザの人々に十分な援助を提供できないとしていますが、イスラエルは他の援助団体の入域を許していません。さらに国連や他の援助団体は、安全上の懸念を理由にGHFとの協力を拒否しています。

11の人権団体が署名した共同声明はこう述べています。「欧米の治安・軍事関係者が主導し、イスラエル政府と連携して立ち上げられたプロジェクトであり、ガザの人々が完全な包囲下にある状況で実施されました。その設計や実施にパレスチナ人の関与は一切ありません。」

世界中の人権団体は、イスラエルに対して直ちにガザの包囲を解き、食料と援助を受け入れるよう求めています。グレタ・トゥーンベリらが「生配信されているジェノサイドと飢餓」と呼んだ事態を、全世界が目撃しています。

この記事を書いた人

まりか

ma_ah1312@proton.me

パキスタンと日本のハーフ。差別やあらゆる社会問題について常に考え、発信している。

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