海外ライターから見た推し活の世界

翻訳:POLYGLOTS magazine編集部

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日本のファンダム文化の長所と短所

日本では、一部のファンは自分のお気に入りのアイドルを応援することをとても真剣に受け止めています。この趣味は「推し活」と呼ばれ、アイドルの成功を助けたり、ファン同士をつなげたりする多くの活動を含んでいます。

推し活とは何か

欧米では、おそらく多くの祖父母が、寝室の壁にビートルズやローリング・ストーンズのようなバンドの写真やポスターを貼っていた1960年代や1970年代を覚えているでしょう。彼らはアルバムを集めていたかもしれないし、特別な記念品を持っていたり、友人と一緒にコンサートに行ったりしたかもしれません。このようなファンダム(ファンの世界やその活動)はたいていは気軽なものでした。歌手やバンドへの愛は個人的なものであったり、少数の友人とだけ分かち合うものでした。

推し活は違います。この日本語のスラングは「推し」(お気に入りの有名人、アイドル、またはキャラクター)と「活動」の2つの言葉から来ています。推し活とは、ファンが推しを応援し、その存在を広め、推しとつながるための活動全般を指します。ファンはコンサートやイベントに参加したり、公式グッズを購入したり、特別なキャンペーンに参加したり、オンラインコミュニティやオフ会で他のファンと話したりすることができます。

推し活の目的は単なる個人的な楽しみではありません。ファンは実際に推しに違いを生み出そうとします。彼らはアイドルの人気を高め、賞やランキングを勝ち取らせたり、グッズやアルバムの売上を増やしたりすることでそれを行います。

なぜ推し活が支持されるのか

日本では、多くの人が推し活を一般的で前向きな趣味と捉えています。アイドル事務所、アニメスタジオ、イベント主催者は、ファンの関心を維持するために特別な体験を作ります。これは、侍と主君の間の忠義、終身雇用、茶道や書道、武道のような芸の丁寧な修練などのような、日本の忠誠心や献身の伝統に合っています。推し活は、まさにこの忠誠の現代的な形と見ることができます。

宮田雅之(2024)は「ウェルビーイングと『推し活』―振り返り」という記事の中で、博報堂の 「OSHINOMICS REPORT」 によると34.6%の人々が推しを持っていることがわかったと報告しています。若い世代ではさらに高い割合でした。推し活にお金を使う人々の間では、自由時間の38.8%と余剰収入の37.4%がこれらの活動に使われていました。明らかに、推し活は多くのファンの日常生活の大きな部分を占めています。

推し活の注意点

推し活の支持者は、それには多くの利点があると言います。それは人々に楽しみにするものを与え、友情を生み出し、コミュニティの一員であると感じさせます。多くの人が孤立を感じている現代でこそ、こうしたつながりには特別な価値があります。

それでも、どんな活動にも共通して言えるように、適度な線引きをすることが大切です。友好的な競争は楽しいかもしれませんが、同じ推しを応援する人とのライバル関係をどこまで深めるかについては慎重に考えるべきです。また、自分自身の必要や夢を忘れないことも重要です。推しを応援することで、自分の個人的な目標や大切にしてきた夢をあきらめることになってはいけません。

推し活がもたらす前向きな力

人はそれぞれ違うものに心を動かされます。アニメ、マンガ、アイドル文化を愛する人もいれば、その魅力が分からない人もいます。個人的に会うことはないであろうアイドルを応援するためにこれほど多くの時間やエネルギー、お金を費やすことに疑問を持つ人もいるかもしれません。しかし、野村総合研究所未来創発センターの研究は、推しを持つことがより大きな幸福につながることを示唆しています。複数の推しを持つ人は、さらに幸せを感じるかもしれません。同じ推しを応援する家族は、絆が深まることがよくあります。推し活を単なる“現実逃避”だと考えて退ける人もいますが、それはファンに感情的なエネルギー、希望、そして日々の生活のモチベーションを与えることができます。

あなたは推し活をどう思いますか?

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