アナログレコードの意外な復活

英文記事執筆:Sean Furniss / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部

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レコードの歩み

つい最近まで、アナログレコードは音楽を聴く現実的な手段としては大多数の人に退けられていました。20世紀の大半、レコードは世界中で支配的な音楽フォーマットでした。しかし、1970〜80年代のカセットテープ、80年代後半のCD、そして21世紀のデジタル・ストリーミングの登場により、レコードは永遠に博物館の遺物として見なされるだろうと思われました。

レコードは大きく、扱いにくく、携帯性もないため、より新しくて便利なフォーマットには太刀打ちできないのは明らかだと考えられていました。にもかかわらず、2007年以降、顕著な変化が起きました。レコードの売上は年ごとに増加し、今日に至るまで止まる気配がありません。業界の予想に反して、レコードは驚くべき復活を遂げ、いまや録音音楽の売上でデジタル・ストリーミングに次ぐ第2位に位置しています。

人々がレコード体験を愛する理由

レコードの復活の主な理由は、人々がどのように音楽を体験したいかが変化したことにあります。多くの音楽愛好家は、もはや単に利便性だけを優先しておらず、代わりにレコードがもたらす物理的な体験を切実に求めています。針を下ろし、カバーアートに見入って、パッケージの細部を発見することは、スマホで再生ボタンをただ押すよりも、音楽とのより深い結びつきを生みます。

音楽作品がアーティストの意図した形で聴かれることはほとんどなく、代わりにスキップ可能なプレイリストに分割されてしまうデジタルストリーミングの時代において、レコードのように決まった順序で聴くという構造的な聴き方は、より深い鑑賞の形であると言われています。レコードを手に取り、作品を最初から最後まで聴くという所作は “deep listening(深く味わうように聴くこと)” を促し、これこそがアーティストとリスナーの個人的な関係をよみがえらせる方法だと主張する人もいます。

多くのリスナーは、レコードの音がデジタル・ストリーミングよりも優れているとも述べます。レコードは、デジタルでは再現が難しい本物らしい温かみのある音を与えるとして、しばしば称賛されます。プチプチ/パチパチというノイズの不完全さが音に個性を与え、リスナーにまるでアーティストと同じ場にいるかのように感じさせます。

趣味としてのレコード収集

レコードは収集品としても理想的です。とりわけパンデミックのさなか、多くの人がレコード収集を趣味として始めました。アートワークと、アーティストに結びついた思い出が相まって、レコードには独特の美的魅力が生まれます。それがコレクターに愛され、ファンには「お気に入りのアーティストを支援する最良の方法だ」と感じさせるのです。

なかには希少な盤もあり、それらを中古店や個人経営のレコード店で見つけ出すスリルは「病みつきになる」とも言われてきました。レコード店は、音楽を愛する人々が集まり、音楽の楽しみを分かち合う物理的な場ですが、デジタル・ストリーミングの台頭に伴い、完全に姿を消すと思われていました。幸いなことに、レコードの復活はレコード店にも再び活気をもたらし、おすすめを共有し、音楽鑑賞が趣味であることを実感できるコミュニティの拠点としての役割を取り戻しています。

emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ

phase out / be phased out

段階的に廃止する/段階的に姿を消す、なくなっていく

ポイント

急にやめるのではなく、時間をかけて減らしていく というニュアンスが重要です。 企業・政府・制度などの文脈でよく使われ、「旧来のものが新しい仕組みに置き換わる」流れを指します。 受け身の be phased out は「(制度や製品が)徐々に姿を消していく」となり、「自然に消える」ではなく、「意図的に計画的に減らされていく」 という含みがあります。

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