人はなぜボランティアをするのか

英文記事執筆:Everett Ofori / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部
厚生労働省によると、「ボランティア」とは、自発的な意思に基づき、他人や社会に貢献する行為を指します。つまり、ボランティアは、誰かに命令されたから行うものでも、報酬を期待して行うものでもありません。報酬がないのに、なぜそのようなことをするのだろうと思う人もいるかもしれません。しかし、ボランティアは与えることだけではありません。多くの場合、ボランティアをする人たちは、自分が与えるものよりも多くのものを受け取っていると感じています。
では、なぜ人はボランティアをするのでしょうか。この記事では、主な3つの理由を見ていきます。それは、自然な思いやりの気持ち、恩返しをしたいという気持ち、そして助けが必要なときに行動するという決断です。
自然な思いやりの気持ち
人はさまざまな点で異なっています。勇敢な人もいれば、創造力のある人もいます。そして、他の人が困っているときにすぐに気づく人もいます。ある人たちにとって、他の人を助けることは、無理に自分にさせなければならないことではありません。若いころでさえ、泣いている友人を慰めたり、一人でいる同級生をグループに誘ったり、不公平に扱われている人のために立ち上がったりすることがあります。
成長するにつれて、このような姿勢は、支援が大きく必要とされている場所でのボランティアにつながることがあります。子どもセンターで手伝ったり、一人暮らしの高齢者を訪ねたり、地域のフードバンクで食事を提供したりする人もいます。また、家や学校を失った人々を助けるために、貧しい地域や戦争で荒廃した地域へ行く人もいます。このようなボランティアにとって、他の人を助けることは単なる義務ではありません。それは、彼らの生き方の自然な一部なのです。
他の人への恩返し
人がボランティアをするもう一つの一般的な理由は、恩返しをしたいと思うからです。多くの人は、人生の困難な時期に助けを受けた経験があります。その助けが自分にとってどれほど大きな意味を持っていたかを覚えているため、同じような問題に直面している人たちのために何かをしたいと思うのです。
たとえば、かつて薬物依存に苦しみ、カウンセラーやボランティア団体から助言を受けた人が、後に同じ経験をしている人たちと関わることがあります。無料の学習支援のおかげで勉強を続けることができた学生が、後に授業料を払う余裕のない子どもたちに教えることもあります。このような場合、ボランティアは感謝の気持ちを示す方法になります。また、それは “paying it forward” (恩送り*)と呼ばれることも多い、親切の連鎖を続けるものでもあります。これは、一つのよい行動が別のよい行動につながるという考え方です。
助けが必要なときに行動すること
深刻な出来事によって、助けがすぐに必要だと気づくことでボランティアを始める人もいます。地震、洪水、嵐などの自然災害は、人々の生活を突然変えてしまうことがあります。家が被害を受けたり、道路がふさがれたり、家族が避難所で過ごさなければならなくなったりすることがあります。このような状況では、地域のリーダー、団体、または友人が、人々にボランティアを呼びかけることがあります。
人々がこうした呼びかけを聞くと、人生がどれほどもろいものかについて考え始めるかもしれません。もし自分の家族が困っていたらどのように感じるだろうかと想像することもあります。これが、行動を起こすきっかけになることがあります。
明確な例が、2011年の東日本大震災です。復興庁によると、2011年3月から2019年1月末までに、岩手県、宮城県、福島県の災害ボランティアセンターを通じて登録し、活動したボランティアは約156万人にのぼりました。また同庁は、被災地の内外で活動に参加したボランティアは、550万人以上にのぼると考えられるとしています。これらの数字は、大きな危機が全国の人々を行動へと動かすことを示しています。
物資を運んだり、被害を受けた家を掃除したり、避難所で食事を提供したり、地域の高齢者の様子を確認したりするボランティアもいます。この活動を通して、彼らはしばしば周りの人々とのつながりをより強く感じ、人々は特に危機のときに互いに頼り合っているのだと理解します。
ボランティアの利点
ボランティアは他の人を助けるだけでなく、ボランティア自身にも利益をもたらします。オークランド大学によると、ボランティアは人々が地域社会でつながりを築き、ストレスを減らし、日々の生活により強い意味を感じる助けになります。また、新しい人と出会ったり、自分の努力が他の人の役に立っていると感じたりできる点でも、価値のある経験になり得ます。
さらに、研究によると、専門的なスキルを使ってボランティアをする人は、新しい能力を伸ばすこともできます。たとえば、デザイナーがチャリティーイベントのポスターを作成したり、会社員が地域の支援団体の情報整理をしたりすることがあります。こうした作業では、考えを共有したり小さな問題を解決したりする必要があることが多いため、ボランティアはコミュニケーション能力や問題解決能力を高めることができます。場合によっては、こうした経験が将来のキャリアにおいてより多くの機会につながることさえあります。
これまで見てきたように、人がボランティアをする理由はさまざまですが、その理由は多くの場合、同じところから生まれています。それは、誰かの生活を少しでもよくしたいという気持ちです。
理由が何であっても、ボランティアは、より強く、より支え合う地域社会を築くうえで重要な役割を果たしています。それは、お金や成功に焦点が向けられがちな世界の中でも、親切心と協力が今も大切であることを示しています。ボランティアはまた、他の人を助けることが、自分自身の人生をよりはっきりと理解する助けにもなり得ることを、私たちに思い出させてくれます。
*「ペイ・フォワード(Pay it forward)」:受けた善意(恩)を、その相手に返す(恩返し)のではなく、別の誰かに送る(恩送り)こと。善意の連鎖を生み出し、社会を豊かにする考え方
emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ
「困ったときに」「助けが必要なときに」
「in times of need」は、困難な状況に直面したときや助けを必要としているときを表す表現です。個人の問題だけでなく、災害や経済的困難など、より広い意味での支援が必要な場面にも使われます。
True friends support each other in times of need.
「本当の友人は、困ったときにお互いを支え合う。」




