シャチの飼育展示を考える

英文記事執筆:まりか / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部

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飼育がもたらす心理的な悪影響

動物園や水族館は長い間、あらゆる年齢の人々にとって娯楽の場であり、野生動物を間近で見る機会を提供してきました。世界には約1万の動物園と1,100を超える水族館があります。動物園や水族館は、保全活動や教育を掲げながら、動物を保護し守っていると長年主張してきました。しかし、多くの動物園や水族館の実態は、それとは異なる姿を示しています。

動物虐待の根絶に取り組む国際団体World Animal Protectionによると、「ズーコーシス(zoochosis)」とは、「飼育下の野生動物に見られる心理的な状態であり、野生では見られない反復的で強迫的な行動を引き起こすもの」です。こうした行動は「常同行動(stereotypical behavior)」と呼ばれることもありますが、明確な目的や意味を持たないように見えます。具体的には、同じ場所を行ったり来たりする行動、頭を繰り返し振る行動、過度になめ続ける行動、自分の毛や羽を抜く行動、水槽の縁に沿って泳ぎ続ける行動、檻をかむ行動、自傷行為などがあります。

この状態は、ホッキョクグマ、ゾウ、キリン、イルカ、カバ、鳥類など、飼育されているほぼすべての動物に見られる可能性があります。海洋公園で飼育されている多くのシャチも、同じ場所を繰り返し泳ぐ行動や、体を前後に揺らす行動、さらには自傷行為を示しています。

野生のシャチ

独自のコミュニケーション方法と複雑な社会構造を持つシャチは、地球上でもっとも知能の高い動物の一つです。シャチは通常、「ポッド」と呼ばれる群れで生活しています。群れは年長のメスによって導かれ、若いシャチたちに生きるための知恵や技術が受け継がれます。

異なるポッドは、それぞれ独自の文化を持っています。狩りの方法や鳴き声にも違いがあり、それらは世代を超えて受け継がれていきます。シャチの群れの結びつきは非常に強く、成長した子どもも一生母親とともに暮らします。

シャチには広い範囲を泳ぎ回りたいという本能的な欲求があります。運動を行い、餌を探すために、1日に最大60キロ移動し、30〜150メートルの深さまで何度も潜ります。最高時速は45キロに達しますが、通常は時速13キロほどで泳ぎます。

シャチは頂点捕食者です。つまり自然界に天敵がいません。魚、クジラ、アザラシ、さらにはサメまでさまざまな生き物を食べます。また、それぞれのシャチの集団には伝統的な食文化があります。

捕獲されたシャチ

捕獲されると、シャチは家族から引き離され、単独で遠くの場所へ運ばれます。そして、本来の家族ではないシャチたちと一緒にされます。

さらに、飼育下で生まれたシャチも、わずか2〜4歳で母親から引き離されることがよくあります。引き離された後、母親のシャチが深い悲しみを示す行動を取った事例も記録されています。

本来、遊び好きで好奇心旺盛なことで知られるシャチですが、飼育によるストレスのために、他のシャチやトレーナーに対して危険なレベルの攻撃性を示すようになる個体もいます。そして、その結果として死亡事故が起きたこともあります。

シャチ研究者のハワード・ギャレットによると、野生のシャチによる人間への致命的な襲撃は記録されていません。

飼育下では、多くのシャチが10代や20代で死亡します。また、オスのシャチのほぼ100%で背びれが部分的、あるいは完全に倒れています。この現象の原因についてはさまざまな議論がありますが、野生のシャチで背びれが倒れる個体は1%未満です。

フロリダ州の「シーワールド」で飼育されていたシャチ「ティリクム」を扱ったドキュメンタリー映画『ブラックフィッシュ(Blackfish)』は、飼育の厳しい現実と海洋公園の搾取的な側面を映し出しています。この映画は、シーワールドで起きた悲劇を描いています。また、シャチがどのように捕獲されるのか、そして広大な海ではなく狭い水槽で暮らすことでどれほどのストレスを受けるのかも示しています。

見る人間、見られるシャチ

『ブラックフィッシュ』公開以降、シャチの飼育展示に反対する声は高まっています。しかし現在でも、世界では少なくとも52頭のシャチが飼育されています。

水族館や海洋公園で野生の海洋生物を間近で見られることは確かに魅力的です。しかし、その見やすさや便利さのために、どのような代償が払われているのかを忘れてはなりません。

『ブラックフィッシュ』には、シーワールドの職員が来園者に対して、シャチの寿命や背びれが倒れる割合について事実と異なる説明をしている映像も含まれています。これは、教育機関として信頼できないだけでなく、シャチの飼育者としても正しい知識を持っていないことを示しています。

日本でも、現在なおシャチを飼育している水族館がいくつか存在しており、その一部は国際的な動物保護団体から強い批判を受けています。

また、富山大学准教授の上山知己氏は次のように述べています。

「問題は、この施設に教育的な側面ではなく、サーカス的な要素を求めて有料の観客が集まっていることにあります。この問題は、人間社会と動物との関係を映し出していると思います。」

emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ

close-knit

「結びつきの強い」「親密な」「団結した」

ポイント

「close-knit」は、人々の関係が非常に親しく、互いに支え合っている状態を表す形容詞です。家族や地域社会、チームなどについて使われることが多く、単に仲が良いだけでなく、強い結束力があることを表します。

例文

They grew up in a close-knit community where everyone knew each other.
「彼らは、誰もがお互いを知っている結びつきの強い地域社会で育った。」

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