BJ Fox流「語学&コメディのススメ」(2/2)
TOKYO COMEDY BARという<多文化空間>にある、笑いと言葉のエッセンス

進行・構成:POLYGLOTS magazine編集部 写真:Coco Taniya
英語学習とコメディ
—— この「POLYGLOTS magazine」の読者には英語学習者が多いので、英語学習とコメディについてお伺いしたいと思います。TOKYO COMEDY BARでの英語でのライブは、英語学習のとても良い素材なのではと思うのですが、どうでしょうか?
そうですね、僕が日本語を勉強する時もそうだったんですが、「これから1時間勉強するぞ!」っていうのは、いずれ飽きちゃう。だから映画でもいいし、ゲームでもいいし、コメディでもいい。いろんな楽しいことを勉強の素材にするといいと思います。コメディなら、エンジョイしながら勉強できる。あと、大体コメディをやっている人って「言語」が好きな人が多いんです。
—— 本当にそんな気がします。
リズムとか、なぜこの言葉を選ぶのか、とか、この言葉をどこに置くか、とか。同じネタをやるにしても、同じ言葉を2回使ってはいけないという暗黙のルールがあったりもします。 だから僕はネタで「仕事しながらコメディをやっています」というのを「いつもは“御社弊社御社弊社”の毎日です」と言う(笑)。そういう言葉へのセンスが大事だと思います。
あと、何よりも「喋る」ということの最終的な目的は「誰かに聞いてもらう」ということです。 働きながらコメディをやっている人が、「コメディのリズムを覚えたことでセールストークも上手くなってきました」ということがあるんですが、そういうことが非常に大事です。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアとかウィンストン・チャーチルなどの有名なスピーチは分析すると、大体、村本大輔と同じような技を使っている。
リズムや言葉の選出だったり、三段オチのような構成になっていたり。「Yes We Can.」「Just do it.」とか、「見ざる言わざる聞かざる」とかも、全部そう。
—— なるほど。コメディのトークや、偉人たちの名スピーチを研究して、自分でもやってみるのは良さそうですね。
TOKYO COMEDY BARに来れば、イギリス、アメリカ、中国、トルコ、日本など、いろんな国の人々が話す英語や日本語、トークのスタイル、発音が聞けます。本当にミックスされたコミュニティなので。国際交流パーティーみたいに緊張する場所でもないですし、いろいろな人と出会えることも非常にいいと思います。
—— TOKYO COMEDY BARで英語のショウを見に来る方の中で、勉強のために来る日本人のお客さんはいらっしゃいますか?
いますよ。多分6割がインバウンド、2割が日本人、2割が在日の外国人。日本のお客さんは、英語が好きだったり昔留学したりしてたけど、今はそんなに英語を使わないからそのころを懐かしく思ってるような人が多い。英語力がゼロではないけど、普段は使っていない、みたいな人ですね。
TOKYO COMEDY BARの英語のショウはインバウンドのお客さん向けに「わかりやすい英語」を使っているので、英語学習者にもおすすめできます。インバウンドのお客さんが必ずしも全員「ネイティブの英語話者」でありません。アジアの人、中東の人、たくさんいます。だから英語もわかりやすくしてるんです。そうでないと笑いが取れませんしね。
あと笑いって、「共通の話題」がないと難しいんですが、インバウンドのお客さんはいろんな国から来るので「共通の話題」が少ない。 だからみんながわかるような「日本のあるある」の話をすることが多いです。インバウンドの人は日本の話を聞きたいですから。 そういうテーマは日本人にとっても分かりやすいと思います。
—— それは日本のお客さんにとっても安心ですね。「英語のショウは少しハードルが高いかも・・・」と敬遠するのはもったいないですね。
おすすめです。
—— ありがとうございます。では、BJさんが自信を持ってオススメするTOKYO COMEDY BAR出演コメディアンを教えてください。
まず、ユリエ・コリンズ(Yurie Collins)。日本語と英語のバイリンガルのコメディアンで、英語の勉強をしたいお客さんにとってもいいです。
あと、モリカサ・ユウマ(Yuma Morikasa)。英語で頑張ってる日本人。もともとお笑いの作家さんで、笑いのことをよくわかっています。
あと、月に一回やっている「LOLs in Translation」*というイベントをおすすめします。全部英語のショウですが、コメディアンたちの「日本語学習」に関するエピソードがメインのトピックになっています。「勉強しても勉強してもわからない!」みたいなフラストレーションを笑いにしているから、英語学習者のお客さんも同じ「言語学習者」として共感できると思います。
LOLs in Translation*・・・東京に来たアメリカ人俳優がさまざまなミスコミュニケーションに戸惑う様を描いた映画『Lost in Translation』のもじり。LOLはLaugh Out Loudの略で、「爆笑」の意味。

—— 日本語を使ってコメディをするコメディアンで、BJさんがおすすめする方はいらっしゃいますか?
先ほども話に出たバハ(トルコ)と、YO(中国)はおすすめですね。YOの本職はコンサル。バハは建築事務所で働いています。
—— ありがとうございます。BJさんは最近『BJ Fox流 「笑い」で切り抜けるサバイバル英語術』というご著書を出されましたが、こちらについても教えていただけますか。
僕は『裏技英語』 というビジネスパーソン向けのポッドキャストをやっています。そのポッドキャストから、英語を使って仕事をするときの言葉選びとか、コミュニケーションの「裏」を掘り下げるようなコンセプトの本を自費出版したんですが、この本はその延長線にあります。
ある1つの仕事のシチュエーションに対して、3つの切り返しのフレーズがあります。その中にはパーフェクトな受け答えだけじゃなくて、バカバカしくて笑えるようなものも含めています。でも「不真面目なことを言いましょう」と言いたいわけではなくて、「効率的にコミュニケーションを取りましょう」という意図です。
ただ会社に行くだけ、という毎日は自分の魂にとって良くない。仕事は自分のためにも頑張った方がいい。でも「頑張りすぎ」もよくない。だから「<いい加減>でやった方がいい」というメッセージが伝えられたらと思います。

—— これを読むと実用的かつ、少しくだけた効率的なコミュニケーションを学べる、ということですね。最後に、英語学習に励む「POLYGLOTS magazine」の読者にアドバイスをいただけますでしょうか。
先ほど、他の人のコメントはどうでもいい、と言いましたが、同じように、自分の英語にミスがあっても気にしない方がいいです。
僕の話をすると、僕は日本語の文法を間違ってる。たまにとても間違ってる。パックンみたいに完璧な日本語じゃない(笑)。でも多分、TOKYO COMEDY BARで一番笑いを取ってるのは僕。だから「全部正しく言う」のが正解なのではなく、言いたいことがあれば恐れずにどんどん言うことが大事。前向きにやった方がいいと思います。 僕のコメディを見て、それを一番感じてほしいと思います。
BJさんから英語学習者の皆さんへのメッセージ
BJ Fox / ビージェー・フォックス(スタンダップコメディアン)
東京を拠点とするイギリス人コメディアン。東京渋谷にあるスタンダップコメディクラブ「Tokyo Comedy Bar」の創設者。日本語と英語のバイリンガルでスタンダップコメディを行い、渋谷はもちろん日本各地にツアーし、笑いを起こしている。
2025年11月には『BJ FOX流 「笑い」で切り抜けるサバイバル英語術』(ベレ出版)を上梓した。人気英語学習ポッドキャスト『裏技英語』のホストとしても活躍中。
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