The Big Picture(全体像)

英文記事執筆:SAKURACO / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部
The Grammar of Life:
アメリカ在住のライターSAKURACOが、日々の暮らしや子育て、人々とのコミュニケーションの中で出会った「言葉」について想いを巡らせる隔週連載。人生をいろどり、かたどる言葉たち(The Grammar of Life)を、一緒に味わってみませんか。
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日々の暮らしの大半は、ごく普通のことの繰り返しです。朝起きて、歯を磨き、夕飯に何を食べようかと考え、請求書を払い、仕事に行き、メールを送り、シャワーを浴び、歯医者の予約を取る。
でも、少し離れたところから眺めてみると、一つの人生は驚くほど特別なものに見えることがあります。
長い時間の中では、誰かを愛し、かつては不可能だと思っていたことを成し遂げ、見知らぬ人に親切にし、静かに誰かの人生に自分の痕跡を残していきます。けれど人生は、何の変哲もない一日一日の積み重ねとしてやってくるので、そうしたことを見失うのは簡単です。
自分の人生の真ん中に立っていると、ゆっくりとした前進は、ほとんど「止まっている」ことと同じに見えます。
ここ数週間、私はまさにそんな感覚から抜け出せずにいました。面接を受けた仕事の結果を待っているからです。ひとり親である私には、その仕事がどうしても必要です。でも、それ以上に、私はその仕事に就きたい。きっと自分ならうまくやれると思うし、心からそこで働きたいと思っています。
今の私は、もう自分にできることは何もなく、あとは誰かが決断を下すのを待つしかないという、なんともつらい場所にいます。
だから、5分おきにメールを更新します。ほかの求人にも応募しますが、どこか気乗りがしません。その一方で、私の不安はアポロ11号のように勢いよく打ち上がり、どうやら大急ぎで月へ向かっているようです。
私は昔から、行動することで気持ちに対処してきました。何かをしている限り、自分は前に進んでいる。前に進むのはいいことです。前進は、進歩を意味します。でも、待つことには、そうした安心が何ひとつありません。
やがて、延々と悪いニュースをスクロールすることさえ効かなくなりました。そこで、自分を疑い始めたときにいつもすることをしました。日記を開いたのです。
小さな革表紙のノートに、私は毎月、自分が望む人生や、なりたい自分に近づくために前進できたことを三つ書き留めています。
そして、意図せず私は、視点をぐっと引いてみることになりました。
それは9月のことでした。目の前のページには、9か月分の記録が並んでいました。選んできたこと、変えてきたこと。つらかったこと、小さな勝利。自分の人生に向き合い続けてきた証拠です。
その数か月を、まるでほかの誰かの人生を見るように眺めながら、私は思いました。
「わあ。この人、本当に進み続けてきたんだな」
私の人生は、止まっていたわけではありません。ただ、近くに立ちすぎていて、動いていることが見えなかっただけでした。
今でも、メールを確認しすぎています。その仕事は今でも必要だし、やっぱり心から欲しいと思っています。日記を開いたからといって、待つことが楽になったわけでも、すっきりする答えが得られたわけでもありません。
でも、違う見方は与えてくれました。
3か月。6か月。9か月。
それくらい離れたところから見てみると、「止まっている」ことは、ずいぶんと「進んでいる」ことに似て見えました。
emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ
「ネガティブなニュースを延々と見続けること」「悪いニュースを追い続けること」
「doom(破滅・不幸)」と「scrolling(スクロールすること)」を組み合わせた言葉で、SNSなどで不安をあおるニュースやネガティブな情報を次々と見続けてしまう行動を指します。やめたいと思っていても、悪い情報が気になってつい見続けてしまうというニュアンスがあります。
I stayed up late doomscrolling through the news on my phone.
「スマホでネガティブなニュースを延々と見続けて、夜更かししてしまった。」




