食料品が「グローアップ」する?
機能性食品と食事管理システムの最新事情

英文記事執筆:SAKURACO / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部

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グローアップ(glow-up)
grow up(成長する)のgrowをglow(輝く、発光する、発熱する)に変えた若者言葉。誰かの見た目や内面が垢抜けて洗練されること。

「あなたはあなたが食べたものでできている」という古いことわざが、企業によって新しく姿を変えました。人々が栄養や日々の食の選択についてより賢くなるにつれて、大手ブランドは食物繊維、プロバイオティクス*、そしてたんぱく質を加えて商品を再起動しています。

かつて健康志向の棚の隅にあったものが、今や食品業界における主流の戦略となっています。

大手炭酸飲料メーカーが“腸の健康”市場に参入

炭酸飲料は通常、健康スコアにおいて悪い評判を得ますが、ペプシコ社はそれを変えようとしています。同社はプレバイオティクス*炭酸飲料メーカー「Poppi」を買収することで、消化に良い飲料の分野へ進出しています。これにより、ソーダの爽快な泡と甘さを楽しみながら、腸の健康を少し高めることができるようになるかもしれません。

大手ブランドを越えて、アメリカでは独立系のコンブチャ(発酵茶)メーカーが繁栄しています。日本では「紅茶キノコ」*と呼ばれるこの発酵茶は、生きた菌を含み、腸の健康を助けることができます。そして今では、スーパーマーケット、街角の店、さらにはガソリンスタンドにまで広く流通しています。

食物繊維が製品ラインを拡大

食物繊維を加えたシリアルやプロテインバーはすでに一般的です。しかし、アイスクリームはどうでしょうか。デザートのようなぜいたく品にさえ、より多くの食物繊維を加えることが流行していて、マスコミではこれを「ファイバー・マキシング」と呼んでいます。

豆類や野菜が依然として主要な役割を果たしていますが、ブランド各社は消費者の需要に応えるため競い合っています。

学校給食が「脳のための食事」に

上層部からの指示による変化も食堂に届いています。イギリスでは、大手の学校給食業者が、生徒たちが「朝食や昼食が弱いと集中力が下がる」と訴えたことを受けて、中等学校向けに「ブレインフード(脳の食事)」メニューを導入しました。たとえば、オムレツを挟んだ朝食タコスや、味噌スープのチキン入り高級カップ麺、サーモンとブロッコリーのパスタ、ストロベリーチーズケーキ風オーバーナイトオーツなどを思い浮かべてください。

栄養士が監修し、保護者がそれを支持したことで、安全信号が出ました―集中力が最も重要な場所に、栄養価の高い食事を置くのです。

買い物客のための新しいツールセット

大衆に届けるために、日常的なツールが食と健康の世界に入りつつあります。ここでは、業界をリードするいくつかの興味深いツールを紹介します。

スキャンしてスコアを表示するアプリ|Yuka

Yukaはバーコードをスキャンし、栄養素と添加物に基づいて各製品に簡単なスコアを与えるアプリです。さらに、よりクリーンな代替商品を提案します。ラベル読みを早め、スーパーの棚の前で時間を費やすことなく、より食物繊維が多く、添加物の少ない選択へと導きます。

自宅での呼気テスト|FoodMarble AIRE

AIREは手のひらサイズの呼気測定デバイスで、特定の炭水化物を食べた後の水素とメタンを測定します。腸内の微生物が、うまく消化できない炭水化物を発酵させると、ガスを生成します。水素やメタンの上昇は、どの食品が自分の体で発酵を起こすかを示唆する可能性があります。これにより、食物繊維の種類、プレバイオティクス、食事のタイミングを調整することができます。

非糖尿病患者向けの血糖バイオセンサー|CGM

持続的血糖モニター(CGM)は、皮膚の下の血糖値を追跡し、データをアプリに送る小さなセンサーです。異なる食べ物が人によって異なる影響を与えます。血糖の変動がなだらかなカーブは、ほとんどの場合エネルギー、気分、集中力の安定を意味します。短期間の記録でも、自分に最も合う食事を学ぶことができます。

アボット・リンゴ(Abbott Lingo)

アメリカで市販されているウェルネス向けCGMです。センサーとアプリを組み合わせ、血糖曲線をシンプルな助言に変換します。たとえば「どんな朝食がエネルギーを安定させるか」といった形です。

オーラリング + ステロ (Oura Ring + Stelo)

オーラリングは、洗練された、宝飾品のようなデザインで知られるウェアラブル健康デバイスです。現在は、Dexcom社のステロCGMプログラムと連携し、睡眠、回復、準備状態、そして血糖データを一つの画面で見ることができます。

もし2015年が「何にでもチアシード*を加える」時代だったなら、2025年は「私たちのキッチンにデータと科学を加える」時代です。学校は実験を行い、ブランドは投資を進め、ツールはますます賢くなっています。

次に決めるのは私たちです―カートに入れるもの、そして脳を支えるものを選びましょう。


*プロバイオティクス(probiotics)
腸内環境に良い働きをする、生きた有用菌のこと。

*プレバイオティクス(prebiotics)
プロバイオティクスのエサとなり、その働きを助ける食物繊維やオリゴ糖などの成分。

*紅茶キノコ
甘い紅茶などを酵母と酢酸菌で発酵させた飲料。海外で「Kombucha(コンブチャ)」と呼ばれる発酵茶飲料と同じ系統のもので、日本の「昆布茶(こんぶちゃ)」とは別物。

*チアシード(chia seeds)
チアという植物の種子。食物繊維やオメガ3脂肪酸を含み、近年は“スーパーフード”として人気が高まっている。

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over-the-counter

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ポイント

“over-the-counter” は、医師の処方を必要とせず、店頭でそのまま買える薬や製品を指す表現です。薬局で気軽に買える風邪薬や痛み止めなどが、このカテゴリーに入ります。

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