「No(ノー)」について思うこと

英文記事執筆:SAKURACO / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部
「NO(ノー)」
この言葉を耳にしたとき、あなたの直感的な反応は何でしょうか。身を守るように肩がすくむでしょうか。それとも、胸が締めつけられ、顎に力が入り、反撃の準備をしてしまうでしょうか。
いずれにせよ、このシンプルな一語は、身体に非常に直接的な反応を引き起こします。
だからこそ私は、この言葉こそが、英語の中で最も強力な言葉なのではないかと思うのです。
「ノー!」-私はこれを、2歳の娘から一日に8万回ほど聞いています。
時にそれは、世界で最も力のある人物でさえ彼女の前にひざまずかせてしまいそうな、反抗的な叫びとして発せられます。またある時には、もっと静かで、思いやりのある口調で言われることもあります(言うまでもなく、私は後者の方がずっと好きです)。
私はこれを、彼女の脳が発達していく過程の一部だと理解しています。つまり、新しく芽生えた自己意識や主体性を主張しているのです。それでもなお、彼女が「ノー」を発する様子には、驚かされずにはいられません。
たとえば、私が食べているものを一口あげようとすると、彼女は-ご想像のとおり-「ノー!」と言い、まるで私が毒を盛ろうとしたかのように、スプーンから身を引きます。
ところが、ほんの数呼吸もしないうちに、「ごはん!」とか「豆!」とか、さっき渋々断ったそのスプーンの上に乗っていたものを要求してくるのです。これは一体どういうことなのでしょうか。
彼女は、考えを決める前に「ノー」と言っているのです!
これは、私にとって非常に大きな気づきでした。私たち大人は、いつの間にか、よく考える前に「イエス」と言うことを覚えてしまいます。そして後になって、すでに予定が会議や締切でぎっしり詰まっているにもかかわらず、また一つ社交的な予定を引き受けてしまった自分を、静かに呪うのです。
しかし、問題のこの2歳児は、まったく反対の端から物事に向き合っています。彼女は、何かに同意する前に、まず断る権利を行使し、それから考え直します。私たち大人とは違い、そこに罪悪感も恥も感じていません。彼女にとって、「ノー」はただの「ノー」なのです。
それは、ごはんが嫌いだという意味でもなければ、ママと分け合いたくないという意味でもありません。実際のところ、それは、差し出されたものが欲しくないという意味ですらないのです。
それは単に、「今はノー。(あとで考える)」という意味なのです。
私もこんなふうに、迷わず「ノー」を使えたらどんなにいいだろうと思います。境界線を引くというこの行為が、敵意や反抗、あるいは他人を遠ざけることとして受け取られなければいいのに、と願います。「ノー」は、扉を閉ざすことではありません。考えるための小さな空間を開くことなのです。世界に反抗するためではなく、従属的な「イエス」-他の人たちがその方向に進んでいるからとか、スクロールしすぎて自分で考える余力が残っていないからとか、そういう理由だけで言ってしまう「イエス」-に反抗するために。ただ流れに合わせてしまう方が、ずっと楽に感じられるものなのです。
これを機に、自分自身への贈り物として、それをやってみてもいいのかもしれません。
自分も、もう少しだけ娘のように振る舞ってもいいと許してあげるのです。もちろん、彼女ほどストレートな言い方はしないつもりですが……。
たとえば、「後でお返事してもいいですか?」とか、「空いたらお知らせしてもいいですか?」とか。
なにしろ、これは私にとって初めての経験ではありません。日本で育ったおかげで、私は外交的な言い回しの道具箱を一式与えられてきました。そのスキルセットを、英語でも -そして自分との対話でも -きっと呼び起こせるはずです。
「ノー!原稿を書いている間はSNSを見ちゃだめ!」と言う代わりに、
「今はノー…この段落が終わってから戻ろうか?」と言ってみる。
「ノー!11時にクッキーなんてだめ!」と言う代わりに、
「ノー…今夜それは体によくないな…朝になっても欲しかったら、そのとき決めよう」と言ってみる。
力強いことは、必ずしもきついことを意味しません。そしてそれは、「ノー」も同じです。
「ノー」という言葉は、小さなノミのようなものです。驚くほどの力で、今日のあなたのために、ほんの少しの空間を彫り出してくれるのです。
emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ
「これが初めてではない」「もう慣れている」「経験済みだ」
「this is not my first rodeo」は、同じような状況を以前にも経験しており、戸惑っていないことを伝える口語表現です。自信や余裕を示す一方で、ややくだけた言い方なので、フォーマルな場では注意が必要です。
Don’t worry about me. This is not my first rodeo.
「心配しないで。こういうのは初めてじゃないから。」




