クリティカル・シンキング入門

英文記事執筆:Everett Ofori / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部
過去 10 年間にわたり、アメリカ合衆国のビジネスリーダーを対象とした調査は、明確な傾向を示してきました。多くの CEO は、従業員に最も必要とするスキルとして、コミュニケーション(communication)、協働(collaboration)、創造性(creativity)、そしてクリティカル・シンキング(critical thinking)を挙げています。これら 4 つの “C”は「21世紀型スキル」と呼ばれています。最初の 3 つは理解しやすいものです。しかし、クリティカル・シンキングが実際には何を意味するのかについては、今も多くの人が疑問を抱いています。この記事では、この重要なスキルについて、シンプルで実践的な言葉で考えていきます。
クリティカル・シンキングではないもの
まず最初に、クリティカル・シンキングではないものを理解しなければなりません。クリティカル・シンキングは、批判することと同じではありません。批判することは、多くの場合、単に人や考えについて否定的なことを言うことを意味します。たとえば、ある人が友人に対していつも「その服はひどく似合っていない」と言い続けている場面を想像してみてください。批判する側は、自分が力を持っている、あるいは賢いと感じるかもしれませんが、言われた友人は、おそらく傷ついたり、自信を失ったりするでしょう。
クリティカル・シンキングは、これとは異なります。それは、責めたり、恥をかかせたり、攻撃したりすることを目的としません。その代わりに、私たちの思考の質を理解し、検討し、改善することを目的としています。
クリティカル・シンキングとは何か
教育理論家であるリチャード・ポールとリンダ・エルダーによれば、クリティカル・シンキングとは、どのような主題や問題についてであっても、思考の質を高めることを目的とした考え方です。私たちは、いくつかの基準に照らして自分の考えを確認することで、それを行います。これらの基準は、次のような問いを立てる助けになります。「自分の前提は正しいか」「十分な証拠を持っているか」「結論は筋が通っているか」。
真剣なクリティカル・シンカーは、明確さ、正確さ、精密度、関連性、論理性、重要性、公平さなど、多くの側面を考慮します。この記事では、初学者にとって理解しやすい 3 つの中心的な考え方、すなわち、明確さ、正確さ、そして権威性に焦点を当てます。
明確さ
明確さとは、理解しやすいということです。ときどき、私たちは自分には明確に思えることを言いますが、相手は異なる背景を持っているため、別の理解をすることがあります。
「朝食」という言葉を例に考えてみましょう。戦争の影響を受けている地域では、朝食そのものが存在しない場合もあります。オーストラリアの人にとっては、朝食はハム、卵、トーストかもしれません。日本の人にとっては、ご飯、魚、汁物である可能性があります。同じ言葉であっても、人々の頭の中にはまったく異なるイメージが浮かぶのです。
明確な話し手や書き手は、誤解を避けようとします。それは、用語を定義し、難しい言葉や専門用語を避け、具体的な例を挙げることを意味します。また、自分の文章を確認することも意味します。自分の書いたものを読み返すと、読み手を混乱させる可能性のある文に気づくことがあります。クリティカル・シンキングは、私たちが速度を落とし、言葉を確認し、より明確な表現を選ぶ助けになります。
正確さ
正確さとは、私たちの使っている情報が正しいことを確認することです。多くの誤った考えは、人々が確認せずに繰り返すだけで広まっていきます。クリティカル・シンカーは、基本的な問いを投げかけます。「これは本当か」「この情報はどこから来たのか」「証拠はあるか」。
たとえば、「冷たい水をたくさん飲むと風邪をひく」という考えを耳にすることがあります。これは一部の文化ではよく見られる考えですが、それを支持する強い科学的証拠はありません。クリティカル・シンカーは、この考えを受け入れる前に、信頼できる情報源を探します。正確さは、私たちを失敗から守ります。また、学校、職場、日常生活において、良い判断をする助けにもなります。
権威性
権威性とは、情報の出所を指します。クリティカル・シンカーは、権威ある立場にいる人であっても、間違いを犯す可能性があることを知っています。警察官が誤った法律を引用することもあります。医師が誤った助言をすることもあります。これは、権威を完全に否定すべきだという意味ではありません。その代わりに、私たちは次のように問うべきです。「この人の専門分野は何か」「この分野について訓練を受けているか」「信頼できる実績があるか」。
たとえば、病気を研究する医師は、『ランセット』や『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』のような医学誌を信頼します。これらの情報源は、専門家による審査を受けています。明確な著者や資格のない個人ブログは、信頼性が低いといえます。
クリティカル・シンキングをさらに探究する
大学はしばしば、クリティカル・シンキングを教えようとしますが、それは簡単なことではありません。大学は学生に、異なる視点を検討し、異文化の考えを比較し、議論の背後にある論理を問い直すことを促します。こうした活動は、学生がより強い思考力を身につける助けになります。
クリティカル・シンキングを学び始めるために、大学の授業を待つ必要はありません。今日から、次のようなシンプルな問いを投げかけることができます。「これは明確か」「正確か」「誰がそう言っているのか」。テーマをより深く探っていく中で、世界を理解する新しい方法が見えてくるでしょう。クリティカル・シンキングは、学習をよりよくするだけでなく、日常生活をより豊かなものにしてくれます。
emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ
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menu_book参考文献
- Elder, P. (n.d.). Why focus on critical thinking? University of Louisville, Ideas to Action.
- Thornhill-Miller, B., Camarda, A., Mercier, M., Burkhardt, J.-M., Morisseau, T., Bourgeois-Bougrine, S., Vinchon, F., El Hayek, S., Augereau-Landais, M., Mourey, F., Feybesse, C., Sundquist, D., & Lubart, T. (2023). Creativity, critical thinking, communication, and collaboration: Assessment, certification, and promotion of 21st century skills for the future of work and education. Journal Name, Volume(Issue), Page range. https://doi.org/[DOI]




