「億万長者のように買い物を」:Temu はいかにして買い物のあり方を変えたのか

英文記事執筆:Sean Furniss / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部
Temu とは?
Temu は、近年、超低価格のオンラインショッピングサイトの人気急上昇を牽引しているオンラインマーケットプレイスです。その最大の売りは、信じがたいほど安い商品の価格設定にあります。Temu は、消費者を中国の販売業者と直接つなぎ、「中間業者を省く」ことで、こうした低価格を実現していると主張しています。この直接的なモデルにより、Temu は衣類からガジェットまで、通常価格のほんの一部で商品を販売することが可能になっています。
これに加えて、このアプリは、買い物を単に安さだけを目的とするものではない「体験」へと変えています。アプリには、利用者を引きつけ続けるためにデイリー報酬や「スピン・トゥ・ウィン」のルーレット、ミニゲームなどが含まれています。
Temu はどのようにしてインターネットを席巻したのか
Temu のマーケティング戦略は、当初から非常に攻撃的でした。従来の小売業者より 30〜70%も安い価格で商品を提供し、さらにフラッシュセール、クーポン、紹介によるボーナスなどを絶え間なく打ち出しました。この「衝撃的な価格」の戦略は、TikTok などのソーシャルメディアで人気のある「haul culture」、すなわちクリエイターがオンラインで大量の商品を購入し、届いたときにその購入品を動画で紹介する文化に、直接結びつくよう設計されていました。
このマーケティング戦略は成功し、Temu は広告のあらゆる分野に多額の投資を続けました。
スーパーボウルの広告枠は、世界でも特に高額なことで知られていますが、Temu は 2023 年のスーパーボウルで 3 回も CM を放映し、推定で 2,100 万ドルの費用がかかったとされています。2023 年の広告費総額は 5 億 500 万ドルを超え、Temu を目にせずに過ごすことができないと感じられるほどでした。その結果、このアプリはその年の App Store において、最も多くダウンロードされたアプリとなりました。
このビジネスモデルは、中国企業である Pinduoduo のモデルに沿ったものです。Pinduoduo は Temu と同じく、電子商取引大手 PDD Holdings を親会社としています。このモデルでは、購入者は、従来の卸売業者や小売業者を介することなく、中国の工場と直接つながります。当初、中国からの発送は煩雑で、海外では採算が合いませんでした。そのため Temu は、アメリカなどの大きな市場に倉庫を設置し、配送を迅速化しました。
Shein との類似点と反発
このウェブサイトのビジネスモデルは、ファストファッションサイトである Shein と頻繁に比較されています。Shein は、同様に、流行の商品を低価格で提供するファッションサイトです。しかし、両サイトは似たような批判にもさらされています。
Shein は過去に、安全でない労働環境の作業場で作られた商品を販売しているとして非難されてきました。一部の従業員は、1 日 17 時間労働を強いられ、ミスをすると賃金を差し引かれたと報告されています。労働問題にとどまらず、Shein は、持続可能ではないファストファッションの手法による環境への影響についても批判を受けています。さらに、商品の品質がしばしば疑問視されており、独立系デザイナーの作品を模倣したという疑惑も提起されています。
批評家たちは、こうしたタイプのサイトが、高品質な素材を再利用・再生するのではなく、商品を絶えず捨てては買い直すという文化を常態化させていることを懸念しています。それにもかかわらず、Temu の成長は衰える兆しを見せておらず、オンライン小売業者を許容可能な水準に保つ責任は、規制当局に委ねられています。
emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ
「購入品まとめ紹介文化」「大量購入を見せる文化」
「haul」は本来「(重い物を)引きずって運ぶ」「大量に手に入れる」という意味の語です。
「haul culture」ではその意味から転じて、たくさん買った物をまとめて見せる行為が注目される消費文化を指します。
Haul culture on social media has changed how people think about shopping.
「SNS上の購入品紹介文化は、人々の買い物に対する考え方を変えています。」




