マイクロアグレッションを知っていますか?

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マイクロアグレッションとは何か

マイクロアグレッションとは、少数派の集団に属する人々に対して、敵意のある、否定的な、あるいは侮辱的なメッセージを伝える、意図的または意図的でない、日常的な言語的・非言語的行為のことです。これらのメッセージは、露骨なレイシズム(人種的差別)や同性愛嫌悪とは異なり、曖昧で微妙な形をとることが多く、善意を持った人々から発せられることもあります。制度、教育、文化、そしてメディアといった領域における、少数派への差別的な扱いは内面化され、対人関係の中で無意識のうちに繰り返されます。社会における他の周縁化された集団、たとえば障害のある人々、LGBTQ+ の人々、女性なども、頻繁にマイクロアグレッションを受けていますが、この記事では、レイシズムの観点から論じます。

マイクロアグレッションには三つの種類があります。マイクロアサルト(攻撃型)、マイクロインサルト(侮辱型)、そしてマイクロインバリデーション(軽視型)です。
マイクロアサルトとは、被害者を傷つけるために使われる、意図的で人種差別的な侮辱です。これは、警察によるレイシャルプロファイリング*から、店内で有色人種の客を従業員がついて回る行為まで、さまざまな形をとります。
マイクロインサルトとは、ある人のアイデンティティに対して無神経で、敬意を欠いた発言のことです。その一例が、「あなたは南アジア系の人たちとは違うね」と言うことや、特定の民族に属する人々は多数派よりも教育水準が低いと決めつけることです。
マイクロインバリデーションは、周縁化された集団に属する人の経験が、否定されたり、軽視されたりするときに起こります。これは、当事者の経験を退けるために、自分自身の経験を引き合いに出すことで、よく行われます。たとえば、あなたの友人が「南アジア系の父が警察にレイシャルプロファイリングされた」と話したとします。その状況に対して寄り添う代わりに、あなたが次のように返したらどうでしょうか。「でも、私も自転車のことで警察に呼び止められたことがあるし、日本人に見える私でもそうだったんだから、警察はあなたのお父さんを人種で見ていたわけじゃないと思うよ」。この返答は、その人の経験を完全に無視し、レイシャルプロファイリングの影響を軽視しています。マイクロインバリデーションのもう一つの一般的な形は、自分の国にいるにもかかわらず「よそ者」であるかのように感じさせることです。たとえば、「どこから来たの?」「どうしてそんなに日本語が上手なの?」といった質問です。

これは日本ではまだ新しい概念ですが、次第に知られ、認識されるようになっています。それは、人種的に周縁化された人々が、しばしば褒め言葉に見せかけられてすらいる発言を聞いたあとに感じる、不安や居心地の悪さに名前を与えるものです。マイクロアグレッションについて学ぶことは、反レイシズム教育の重要な一部であり、意図の有無にかかわらず、受け手の現実に焦点を当てます。

マイクロアグレッションの心理的被害

マイクロアグレッションは、孤立した出来事ではなく、より深く根付いた制度的問題の表れであり、周縁化された人々に重大な影響を与えます。マイクロアグレッションを繰り返し経験することは、自尊心の低下、消耗感、他者への不信感、帰属意識の低下、歴史の中で繰り返されてきた加害を想起させるトラウマ、抑うつ、ストレス、不安などを引き起こします。

オタワ大学の教授であるモニカ・ウィリアムズ博士が主導した新しい研究が、2025 年に発表されました。この研究は、400 人の BIPOC(黒人、先住民、その他の有色人種)の学生を対象に、マイクロアグレッションが心理に与える否定的な影響を明らかにしています。調査に回答した黒人学生の 77%、アジア系学生の 65%が、人種的トラウマの臨床的基準値を上回っていました。ある学生は次のように述べています。「人種のせいで、人から見過ごされている、あるいは本当の人間として見られていないように感じることがあります」。ウィリアムズ博士は次のように強調しています。「学生たちの声は明確です。彼らは、単に包摂されることだけでなく、尊厳を保って生きていけることを求めています。この研究は、より良い未来のための設計図です」。

2024 年には、立命館大学のプロジェクト研究者である下地ローレンス吉孝氏が、複数のルーツを持つ人々における人種差別とメンタルヘルスの関連を明らかにする、日本初の全国調査を実施しました。主に 20〜30 代で、自身を「ハーフ」または「ミックス」と認識している 448 人が調査に回答しました。回答者の 98%が、日常生活の中でマイクロアグレッションを経験していました。そのうち 61%は、他の日本人と同じように扱われていないと感じており、47.2%は臨床的な相談が必要とされる基準値を超えていました。これは、全国平均の 9.2%の 5.1 倍にあたります。さらに、自傷行為や自殺未遂を経験した人の割合は、全国平均の 1.5 倍から 2 倍に達していました。

どうすれば止められるのか

他の西洋諸国や一部のアジア諸国と比べると、日本ではルーツが複数にまたがる人の数ははるかに少ないものの、日本で行われたこの研究は、「ハーフ」あるいは「ミックス」と呼ばれる人々が、自分たちが故郷と呼ぶこの国で経験している人種的トラウマを明らかにしています。これが今後も続き、無数の人々に害を与えることを防ぐために、制度は変化を求める声に耳を傾けなければなりません。

ウィリアムズ博士とその研究チームは、反レイシズムおよびアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に関する定期的な研修、文化的に適切なメンタルヘルスケアへのアクセス、帰属意識を育むためのコミュニティスペース、学生を代表する BIPOC スタッフの採用、そしてキャンパス内でのハラスメントや差別を報告できる利用しやすい窓口の整備を提案しています。

レイシズムにノーを言おう

最後に、これは下地氏の調査の自由記述欄に寄せられたメッセージです。「祖父は台湾出身で、祖母も台湾人ですが、日本で生まれました。母語は日本語で、見た目のせいで混血だと思われたことはありません。そのため、露骨な差別を受けることはなく、自分のルーツについて深く考えたこともありませんでした。しかし、そのせいで、私の台湾のバックグラウンドを知らない人たちが、中国系の人々について否定的なことを言ったり、『外国人は〇〇だ』といった発言をしたりするのを耳にすると、不安で、葛藤を感じます」。

いかなる形の差別も、決して容認されるべきではありません。しかし、この証言が示すように、日本では周縁化された人々に対する敵意が年々強まっているように見えます。マイクロアグレッションや差別がもたらす害、そしてそれらが制度的なレイシズムにつながることについて人々を教育することは、人種化された人々だけでなく、あらゆるマイノリティの幸福にとって不可欠です。もし誰かがレイシスト的、あるいはマイクロアグレッシブな発言をしているのを見かけたら、それを指摘してください。そのような行為は容認されないのだということを、相手に伝えるためです。


*レイシャルプロファイリング(racial profiling)
人種や肌の色、民族、宗教、国籍、言語といった属性を根拠に職務質問や犯罪捜査を行うこと。

emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ

marginalized

「周縁化された」「社会の周辺に追いやられた」

ポイント

「marginalized」は、特定の人々や集団が社会的・政治的・経済的な場から排除され、十分な発言力や機会を与えられていない状態を表します。意図的な差別だけでなく、制度や慣習の結果として不利な立場に置かれている状況を指すときにも使われます。

例文

Marginalized communities often face barriers to education and healthcare.
「周縁化されたコミュニティは、教育や医療へのアクセスに壁を感じることが多い。」

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