フィルターの向こうへ:IShowSpeedの中国ツアーが変えた世界の認識

英文記事執筆:Sean Furniss/ 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部 / 写真:Gints Ivuskans / Shutterstock

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2025年初頭、IShowSpeed(アイ・ショー・スピード)として知られるアメリカの配信者ダレン・ワトキンス・ジュニアは、中国を2週間にわたって巡るツアーに出発し、それはすぐに文化外交における画期的な出来事となりました。彼の通常のバイラルコンテンツと同様に、「スピード」はその混沌としたハイエナジーなスタイルを存分に発揮し、西洋のメディアで緊張した政治的な語りによって覆われてきた国家のありのままの姿を映し出しました。この旅は、中国の「ソフトパワー」(文化、価値観、考え方による影響力)にとって大きな成功となりましたが、それはスピードのツアーが、スポンサーによって作られた中国のイメージではなく、本物の体験に焦点を当てていたからこそ成功したのです。

フィルターのない視点の力

ドバイのスポンサー付きインフルエンサーとは異なり、スピードのチームは政府からの資金提供を「0ドル」しか受け取っていなかったと報じられており、そのため配信は常に台本のない、加工されていない体験を映し出すことができました。やがてスピードの西洋のファンは、自分たちが中国を「スモッグに覆われた灰色の国」や「技術的に遅れている国」として捉える、長年のメディアのイメージを内面化していたことに気づきました。スピードは、未来的な都市の景観やインフラ、時速350キロの高速鉄道を紹介することで、中国の現代的な側面を視聴者に示しました。彼がただ自分らしく振る舞い、地下でも安定した5G通信や簡単なモバイル決済に驚きを見せる中で、ファンたちは自分たちの見方の変化を実感しました。

文化への没入

間違いなく、技術との関わり以上に重要だったのは、人々との交流でした。彼の身体全体で感情を表現するスタイルは、言語の壁を越えることを可能にし、その爆発的なエネルギーから“Hyperthyroid Bro”(ハイパーテンションな兄貴。Hyperthyroidは”甲状腺機能亢進症”)という愛称で呼ばれるようになりました。彼は、腕立て伏せ対決を現地の人々に挑んだり、辛い火鍋を試したり、広場で「ダンシングおばさん」と一緒に踊ったりすることで、地域の文化に深く入り込みました。少林寺を訪れた際には、その活発な性格にもかかわらず、カンフーを学ぼうとする中で文化に対して大きな敬意を示しました。少林寺の師範は彼を「カンフーを学ぶ者の理想的な姿」と表現し、勇敢さ、賢さ、そして驚きに満ちている点を称賛しました。彼の本物の敬意と文化を評価する力は、スピードを重要な文化的架け橋へと変え、アメリカの視聴者に現実の中国を示すと同時に、こうした「健全な」異文化交流を見る機会が少ない中国の人々にとって、アメリカ人をより人間的に感じさせるものとなりました。

緊張関係への対応

検閲が難しい(フィルターがない)という配信の性質上、そこで生じた複雑な問題もまた隠すことができませんでした。スピードは人種差別的な言葉を使われたり、バナナのような小道具で侮辱的な扱いを受けたりするなど、不快な黒人差別の場面にも直面したのです。

スピードはこれらの出来事に見事に対応し、行為を非難しつつも、それによってツアー全体が損なわれることはありませんでした。スピードの国際的な人気と若い視聴者層のため、このツアーは一部の観察者によって、人種関係に対する「暴露療法」(エクスポージャー)の一形態であると説明され、視聴者が抱いている偏見に挑戦するものとなりました。他の緊張の場面としては、誤った翻訳によって通訳者が中国のネットユーザーから激しい批判を受けたことや、中国のテレビ番組とやりとりする際、番組の過度な商業化がスピードの自然なキャラクターを抑えていると批判されたことなどがありました。

外交の新しいモデル

最終的に、スピードのツアーは、ストリーミングが観光産業に対する関心を生み出すための価値ある革新的な方法であることを示しました。従来の観光は、商業的で整えられた広告に過度に依存してきました。スピードのツアー以降、文化交流を促進する他の成功例も現れています。例えば、YouTuberのルートヴィヒとマイケル・リーヴスのコンビは、携帯電話、地図アプリ、高速道路を使わずに中国と日本を端から端まで旅するという挑戦を行いました。この新しい、生のストリーマー主導の主導の外交モデルは、観光業における主な宣伝手段として、作り込まれた広告に取って代わるでしょう。その鍵となるのは『台本なし』と『現実世界での実体験の露出』です。

emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ

take ~ in stride

「〜を冷静に受け止める」「〜を気にせず対処する」

ポイント

「take ~ in stride」は、問題や変化、困難な出来事に対して動揺せず、落ち着いて対応することを表す表現です。大きな問題にしないで自然に受け流すニュアンスがあります。

例文

She took the criticism in stride and kept working.
「彼女はその批判を気にせず受け止めて、仕事を続けた。」

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menu_book参考文献

  • Aini, Fauzia Latifah. “Changing China’s Global Image through IShowSpeed Visit.” Modern Diplomacy, 26 April 2025.
  • Freidin, Evan. “An American abroad: How one influencer’s visit to China turned the tables.” The Interpreter, Lowy Institute, 6 May 2025.
  • Kaufman, Arthur. “Tour by YouTube Star IShowSpeed Hailed as Soft Power Win for China.” China Digital Times (CDT), 9 April 2025.