SNS時代の英語「Clout Chasing」って?

英文記事執筆:Everett Ofori / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部 / 写真:Hiroshi-Mori-Stock / Shutterstock
英語を学んでいる人で、教科書だけで学ぶことに集中してきたのなら、それはそれでよいことです。しかし、英語はリアルタイムで変化しているため、見逃してしまうものも多くあることを知っておくべきです。新しい言葉や表現は、特にオンライン上で定期的に現れます。
近年とても人気になった言葉の一つが、clout chasing です。多くの教科書には載っていないかもしれませんが、SNSや音楽、日常会話の中で耳にする可能性は高いでしょう。では、それは正確にはどういう意味なのでしょうか。
“Clout”とは?
clout という言葉は、もともとは布切れを意味していましたが、現在では力、影響力、または社会的な重要性を意味するためによく使われます。成功しているミュージシャン、ビジネスパーソン、アスリート、政治家は、他の人々に影響を与えることができるため、clout を持っていると言われることがよくあります。
clout chaser とは、注目、影響力、または名声を必死に求める人のことです。それを得るために、ほとんど何でもすることがあります。危険なスタントを行ったり、有名人と一緒に写真に写ったり、人々が話題にせずにはいられないほど衝撃的な内容を投稿したりするかもしれません。多くの場合、目的は有益な情報を共有することではなく、単に注目を集めることです。
Clout ChasingとSNS文化
clout chasing という表現は、TikTok、Instagram、X(旧Twitter)などのSNSプラットフォームを通じて、2010年代に特に広まりました。それはヒップホップ文化やオンラインのインフルエンサーの間でよく使われていましたが、次第に一般的な英語にも入ってきました。
clout chasing のよくある形の一つは、自分自身を有名人と結びつけようとすることです。例えば、比較的知られていない人が、ある有名人について物議を醸すコメントを投稿するかもしれません。そのコメントが注目を集め、人々がそれをオンラインで共有し、議論がSNS上に広がっていきます。やがて、その有名人の名前が言及されるたびに、もう一方の人物の名前も一緒に言及されるようになります。clout chaser にとって、その戦略はうまくいったことになります。
研究者たちも、この行動を研究しています。ある研究者は、clout chasing を、コンテンツ制作者が自分たちのコミュニティで議論を生み出したいだけでなく、人々に衝撃を与え、強い感情的反応を引き起こすことも意図している状況として定義しています。言い換えれば、注目そのものが目的になるのです。
clout chasing という言葉は、10代の若者や若い大人、とくにSNSに時間を使う人々によって最もよく使われます。人々はしばしば、誰かが注目や人気を得ようとして必死になりすぎていると考えるときに、この表現を使います。
この表現は通常、否定的です。例えば、あまり知られていない人が単に注目を集めるためにオンラインで有名人を攻撃した場合、他の人々はその人を clout chasing だと非難するかもしれません。その批判は、その人の行動が本物の信念や問題意識よりも、名声への欲求によって動機づけられていることを示しています。
clout chasing と似た意味を持つ英語表現はいくつかあります。これには、attention-seeking*、riding someone’s coattails*、seeking the spotlight* などが含まれます。これらの表現はすべて、通常は否定的な意味を持ちます。なぜなら、その人が自分で得たわけではない注目を得ようとしていることを示すからです。
しかし、目立とうとするすべての試みが否定的に見られるわけではありません。成功している人に助言を求めたり、仕事関係のイベントに参加したり、自分のスキルを宣伝したりする人は、ネットワーキング*をしている、自分を売り込んでいる、または個人のブランドを築いていると見なされるかもしれません。これらの表現は、努力、計画、本物の自己成長を示すため、より肯定的な意味を持つことがよくあります。
注目を集めることは悪いこと?
多くの現代のスラング表現と同じように、clout chasing は、私たちが今日生きている世界を反映しています。それは、注目がときにお金と同じくらい価値を持つことがある世界です。ほとんどの人は clout chaser と呼ばれたいとは思いませんが、この言葉は、名声や影響力を形作るうえでSNSがどれほど重要になっているかを思い出させてくれます。次に誰かが clout chasing だと非難されているのを聞いたときには、自分に問いかけてみてください。その人は本当に意味のあることを共有しているのでしょうか。それとも、単にバズろうとしているだけなのでしょうか。
*attention-seeking(アテンション・シーキング):直訳すると「注目を集めようとする」「気を引こうとする」という意味。SNS上では、他人の関心や「いいね」を過度に欲しがる行動や、目立ちたがり屋な投稿を指す。
*riding someone’s coattails:他人の成功や知名度に便乗して自分も利益を得る、あるいは成功するという意味のイディオム。昔の長いコートの「裾(coattails)」を掴んで引っ張ってもらう様子に由来する。
*seeking the spotlight:直訳すると「スポットライトを求めること」という意味。注目を浴びようとすることや、承認欲求を満たそうとする行動を指す。
*ネットワーキング(networking):主にビジネスやキャリア形成において、人と人とのつながり(人脈)を構築し、互いに情報交換や支援を行う活動。
emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ
「拡散する」「ネットで話題になる」「バズる」
「go viral」は、動画や写真、投稿などがインターネットやSNSで急速に広まり、多くの人の注目を集めることを表す表現です。「viral」はもともと「ウイルス性の」という意味で、情報がウイルスのように次々と広がることから使われるようになりました。
The video went viral overnight.
「その動画は一晩でバズった。」
menu_book参考文献
- Costa Bertaglia, T., Dubois, A., & Goanta, C. (2021). Clout Chasing for the Sake of Content Monetization: Gaming Algorithmic Architectures with Self-Moderation Strategies. Morals & Machines, 1(1), 22–29



