“コスパがいい” “タイパがいい”は英語で言うと?
和製英語じゃ伝わらない!

近年、「コスパ」「タイパ」といった言葉を、SNSや会話の中で耳にする機会が増えました。
どちらも「パフォーマンス(performance)」を略した言葉で、「コストパフォーマンス=費用対効果」「タイムパフォーマンス=時間対効果」を意味します。
便利でキャッチーな言葉ですが、これらは英語話者にそのまま伝えても意味が通じないことが多い表現です。

ここでは、英語で「コスパ」「タイパ」を自然に伝えるための表現を紹介します。例文を交えながら、実際の使い方を見ていきましょう。

「コスパがいい」を英語で言うには?

・cost-effective(費用対効果が高い)

This software is very cost-effective.
(このソフトはコスパが高い。)

「投入した費用に対して、どれだけ成果が得られるか」を表す表現です。特にビジネス文脈でよく使われます。 「生産性の高い」「無駄のない」といった評価にもつながります。

Solar panels are becoming more cost-effective every year.
(太陽光パネルは毎年コスパが良くなっている。)

なお、「コスパ」という言葉には、単に効率のよさだけでなく、支払ったお金に対して得られる満足度という側面も含まれます。そのため、少し視点は異なりますが、「費用に見合う価値」や「価格に対する満足感」を表す次のような表現もよく使われます。

good value for money(値段の割に良い)

This café is good value for money.
(このカフェは値段の割にいい。)

日常会話やレビューなど、カジュアルな場面でよく使われます。「安い」ではなく、「価格以上の満足感がある」という意味合いです。

The hotel isn’t fancy, but it’s good value for money.
(高級ではないけれど、値段の割にいいホテルだ。)

worth the price(値段に見合う価値がある)

The jacket was expensive, but worth the price.
(そのジャケットは高かったけど、その価値はあった。)

映画、商品、サービスなど、感想を述べるときによく使われます。価格そのものよりも、「それに見合う満足度」に焦点を当てる表現です。

It’s a bit pricey, but definitely worth the price.
(少し高いけど、間違いなくその価値はある。)

使い分けのポイント:

cost-effective → 数値的・実務的な場面に向く
good value for money → カジュアル・日常会話向き
worth the price → 個人の感想やレビューに自然

「タイパがいい」を英語で言うには

「タイパ(タイムパフォーマンス)」も、「コスパ」と同じく日本独自の略語です。
「限られた時間の中でどれだけ価値を得られるか」を意味します。英語では文脈に応じていくつかの言い方があります。

・time-efficient(時間効率が良い)

This app is really time-efficient.
(このアプリはとても時間効率がいい。)

時間の使い方が無駄なく、効率的であることを示す表現です。ビジネスから日常まで幅広く使えます。

We need a more time-efficient process.
(もっと時間効率のいい方法が必要だね。)

・save time(時間を節約する)

This tool can save you a lot of time.
(このツールでかなりの時間を節約できるよ。)

単純に「時短になる」「時間を無駄にしない」という意味でよく使われます。

Using keyboard shortcuts saves time.
(キーボードショートカットを使うと時間を節約できる。)

「タイパ」という言葉にも同様に、単に効率の良さだけでなく、かけた時間に見合う価値や満足感という要素も含まれています。そのため、「タイパ」と似た意味で、「時間をかける価値がある」「有意義な時間だった」と訳される別の表現も紹介します。

・worth the time(時間をかける価値がある)

The documentary is long, but totally worth the time.
(長いドキュメンタリーだけど、それだけの価値があるよ。)

「時間を費やすだけの意味がある」と感じるときに使います。
レビューや感想でよく見かける自然な表現です。

・time well spent(有意義な時間だった)

Talking with her was time well spent.
(彼女との会話は有意義な時間だった。)

活動が終わったあと、「やって良かった」「価値のある時間だった」と振り返るときに使います。

The workshop was time well spent.
(そのワークショップは有意義だった。)

使い分けのポイント:

・効率を強調 → time-efficient, save time
価値・充実感を強調 → worth the time, time well spent

他にもある?「〇〇パ」

「コスパ」「タイパ」以外にも、「〇〇パ」という略語を見かけることがあります。
以下では、それらの言葉が英語でどのように表現できるかを紹介します!

スペパ(スペースパフォーマンス):「space-efficient(空間効率が高い)」

The layout is very space-efficient.
(このレイアウトは空間効率が高い。)

「狭い空間を無駄なく使う」「収納力が高い」といった意味で使われ、家具や建築の説明にぴったりの表現です。

The new design is both stylish and space-efficient.
(新しいデザインはおしゃれで、しかも空間効率がいい。)

リスクパフォーマンス(リスパ):「risk–return balance(リスクとリターンのバランス)」

We need to consider the risk–return balance.
(リスクとリターンのバランスを考慮する必要がある。)

投資や経営の分野では、「リスクと見返りの釣り合い」を重視する場面でよく使われます。
「リスパがいい」は日本独自の略語ですが、意味としてはこの表現で説明できます。

This project offers a good risk–return balance.
(このプロジェクトはリスクとリターンのバランスが取れている。)

エネパ(エネルギーパフォーマンス):「energy-efficient(省エネ性能が高い)」

This air conditioner is very energy-efficient.
(このエアコンは省エネ性能が高い。)

環境・家電関連では「エネルギー効率」が重要な評価基準になります。
「energy-efficient」は技術文書でも日常会話でもよく使われます。

LED lights are more energy-efficient than traditional bulbs.
(LEDライトは従来の電球よりも省エネだ。)

まとめ:言いたいことを“効率よく”伝えるには

「コスパ」「タイパ」などの「〇〇パ」表現は、お金・時間・空間などのリソースに対して、どれだけの価値を得られるかを簡潔に表す便利な言葉です。
しかし、これらは和製英語であり、英語では「〇〇 performance」と言っても自然には伝わりません。

その代わり、英語では「どのリソースに対する価値なのか」を明確にすることで、「どんな点を効率的だと感じるのか」「何に価値を見いだすのか」がより明確に伝えられます。
略語に頼らず、具体的な単語で表現することが、英語でも伝わる“本当のパフォーマンスの良さ”を示す近道です。


日常的な表現を英語で学びたい方におすすめの記事はこちら:https://mag.polyglots.net/1543/one_up