Yo-Chiとオーストラリアのデザート・トレンドのサイクル

英文記事執筆:Sean Furniss / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部
数年ごとに、オーストラリアの街では新しい味が流行しているかのように思われ、その結果、長い行列やSNSで拡散される投稿が生まれています。現在、その中心にあるのはYo-chiです。それはメルボルンで生まれたフローズンヨーグルトのチェーンであり、今まさにデザートを買うならここしかないと思われるような存在です。
Yo-chiの台頭をより深く見てみると、人々の突然のフローズンヨーグルトへの欲求に乗じた偶然の出来事のように見えるものが、実際には、Z世代のトレンドや動機がデザート文化にどのように現れるかについての巧みな理解に基づいて進められた、意図的なキャンペーンの結果であることが分かります。
トレンドのサイクル
現在はYo-chiですが、彼らはより大きなパターンの一部にすぎません。セルフサービス型の「フローズンヨーグルト」(froyo)チェーンは、すでに10年前に人気の時期を経験しており、カスタマイズ可能なトッピングが並ぶ壁とともに、より健康的な選択肢であることを宣伝していました。また、Boost Juice*の流行もあり、彼らはスムージーやジュースをアクティブなライフスタイルの象徴へと変えました。その後には、Messina*がジェラートを他のデザートに対するプレミアムな代替として位置づけた時期がありました。さらに最近では、バブルティーや抹茶が支配的な味となりました。なぜデザートやデザートブランドは、次のものに取って代わられる前に、非常に人気のあるトレンドになるのでしょうか。
何がこのサイクルを生み出すのか
このサイクルの一つの理由は「performative eating」(パフォーマティブ・イーティング)です。これらの製品は単なる飲み物や食べ物以上のものとなり、人々が自分は「情報をよく知っている」ことを示す手段となります。人々はますます、味や健康のためだけではなく、それが生み出すイメージに基づいて、食べ物や飲み物の選択を行うようになっています。SNSの時代において、これらのデザートは、整っていて美しい見た目になるように厳選されており、投稿されることでブランドの人気をさらに高めると同時に、投稿者自身が自分のアイデンティティを演出できるようになっています。この社会的なトレンドを理解しなければ、価格や健康性といった要素が重要に見えるかもしれませんが、それらは「little treat culture」(ちょっとしたご褒美文化)においてはそれほど関連性が高くありません。この文化は、人々がストレスの多い時期に対処するために、小さくて手頃な贅沢を買うことを意味しています。そして、この文化のもとでは、こうしたデザートは、人々にとって幸せを感じるための手段として正当化しやすく、最適な商品になり得ます。
Yo-Chiはどのようにそれを活用したのか
このサイクルの背後にある理由を理解することは、デザートブランドのマーケティングを成功させるうえで重要です。この考え方を理解している人物の一人が、Oliver Allisです。彼はBoost Juiceの共同創業者の息子で、2020年にYo-Chiのブランドディレクターになりました。文化的な現象を生み出してきた家族の経験を活用し、OliverはYo-chiを再び「クール」にすることができました。
彼らの戦略は、店舗を「ソーシャルハブ」*へと変えることで、現代の健康志向の若者に対して、「バーやクラブよりもはるかに気軽に集まれる場所」として訴求するものでした。また、顧客がフレーバーやトッピング、価格帯を自分で選べるカスタマイズにも焦点を当て、ブランドをできるだけ利用しやすいものにしました。
このブランドの考え方は、環境の持続可能性に焦点を当てたキャンペーンや、TikTokのようなプラットフォームで話題を生み出す取り組みによって広められ、ターゲットとなる層に響くようにされました。
デザートトレンドの未来
デザートのトレンドのサイクルは、やがて新しい流行が人々の関心を引きつけることを示していますが、それは現在の主流が消えてしまうことを意味するわけではありません。Yo-Chiの急速な成長としっかりした経営は、この循環を理解していることと、一時的な流行にとどまらない長期的な戦略を示しています。海外への出店拡大の計画とともに、Yo-Chiは安定したビジネスモデルを築いています。最初の熱狂は落ち着くかもしれませんが、Yo-Chiはオーストラリアの街に残り、甘いものを求める気持ちに応える存在であり続けるでしょう。
・Boost Juice(ブースト・ジュース)
オーストラリア発のジュース・スムージーのチェーン店。健康的でアクティブなライフスタイルを象徴するブランドとして人気を集めた。
・Messina(メッシーナ)
オーストラリアで展開されている高級志向のジェラート専門店。一般的なアイスクリームよりも品質や独自性を重視し、「プレミアムなデザート」として位置づけられている。
・social hubs(ソーシャルハブ)
人が集まり交流する場を指す。単なる店舗ではなく、会話や滞在を目的とした「交流の拠点」という意味で使われる。
emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ
「事情に通じている」「内情を知っている」「最新情報を知っている」
「in the know」は、一般には知られていない内部事情や重要な情報を知っている状態を表します。また、そこから広がって、流行や最新情報に詳しいという意味でも使われます。
She’s always in the know about the latest fashion trends.
「彼女はいつも最新のファッショントレンドに詳しい。」
menu_book参考文献
- Ball, L., Burch, E., & Wong, P. (2025). Matcha latte for the likes: how “performative eating” is changing our relationship with foodÄi0.
- Gerber, S., & Folta, S. C. (2022). You Are What You Eat… But Do You Eat What You Are? The Role of Identity in Eating Behaviors—A Scoping Review. NutrientsÄi0, 14Äi0(17), 3456.
- https://www.news.com.au/lifestyle/food/eat/meet-the-young-aussie-behind-the-yochi-craze/news-story/32ac16f22299d5a802ce2bfee3e7e929




