自作の曲がインドネシアとの架け橋に
私立恵比寿中学 安本彩花が語る“好きの力と、世界への挑戦”(2/2)

進行・構成:POLYGLOTS magazine編集部 写真:Coco Taniya

学びを力に、“好き”を世界へ

帰国してからは、NecoMe名義でSNSも開設されて、楽曲のカバーやインドネシア語のフレーズも紹介されていますよね。

そうですね。インドネシアに行って、現地の皆さんの国民性に本当に感銘を受けたというか、すごく影響を受けたんです。インドネシアに滞在していた1週間くらいは、本当に過密スケジュールで、帰国後もすぐに日本でのグループ活動があって、「寝る時間がない!」みたいな状態だったんですよ。でも、日本でいつも通り仕事をしていたら気が滅入ってしまいそうなスケジュールだったのに、すごく気持ちが明るくて、前向きに過ごせていたことに気づいたんです。
楽しかったな、いい経験だったなっていう気持ちがとにかく大きくて、それはインドネシアの皆さんの温かさだったり、自由さ、楽しむ力みたいなものの影響を受けたからだと思っています。

だから、「またこの感覚を味わいに行ったら、もっと自分が元気になれる気がする」というか。何か疲れることがあったら、いつでもインドネシアに行けるような環境にしたいな、と思うようになりました。そのためにも、もっとインドネシアで活躍していけるようにSNSを始めてみることにしたんです。
インドネシアをきっかけに、いろんな国の人と交流したり、さまざまな文化を知ることができたら、自分の仕事の可能性はもちろん、人としての可能性ももっと広がるし、もっと寛大な人間になれそうだなって思っています。

SNSを始められたことで、インドネシアの方とも交流する機会が増えましたか?

そうなんです。何人か、JFCをきっかけに知ってくださった方だったり、そこから広がって、日本のアイドルが好きなインドネシアの方が時々コメントしてくれるんです。それを調べて、「こんなふうに言ってくれてるんだ。じゃあなんて返そうかな」みたいに考えるのがすごく楽しくて。インドネシア語でコメントが来ていると「あっ!」「やった!」っていう気持ちになります。

素敵ですね。では、来年もまたインドネシアに行きたいという思いが…?

絶対に行きたいです。それを目指して頑張っています。

インドネシア語や英語を勉強して、またインドネシアに行けたとしたら、どんなことをしてみたいですか?

とにかく、前回の反省点でもある“コミュニケーション不足”という部分を、これからの1年弱くらいでなんとか改善したいと思って英語を勉強しています。相手が何を話しているのか、まず理解できるようにすること。そして単語でもいいし、短い文でもいいから、自分の気持ちを相手にしっかり伝えられるようにできたらいいな、というのが目標です。

インドネシアでの経験や英語学習を経て、音楽の面でも何か挑戦してみたいことは生まれましたか?

これまでは苦手意識から、英語の曲をすごく避けてきちゃってた部分がありました。でも英語の発音って歌うときの発声にすごく近いんですよね。だから音楽のプロの方々には、「英語の歌を勉強するといいよ」ってよく言われていました。
今回の経験で英語アレルギーが取れたので、基礎を学ぶという意味でも英語の歌をもっと歌っていきたいなって思います。

楽しみにしています。
このメディアには「好きを学びに」というキャッチコピーがあるのですが、安本さんはグループ活動に加えてソロでも曲を作ったり、好きなことを続けてこられていて、それが今回の夢の実現にもつながったと思います。
一方で、自分の夢や目標に結果がついてこない時期もあったり、そのせいで「好き」を楽しみきれなくなる瞬間もあると思うのですが、そんな時に、「好き」を大切にするために心がけていることはありますか?

なんだろう…。意識していることは、何かひとつだけを好きで極めていると、それがうまくいかなかったり、つまずいた時に、それすら嫌いになってしまうことがあると思うんです。「好きなことを仕事にしたら、好きじゃなくなっちゃった」とかっていうのもよく聞くので、なるべくそれだけにしない、ひとつだけに絞らないようにしています。

「好きなこと」って、結構いっぱいあるじゃないですか。もちろん「私はこれだけが好き」っていう方もいるけど。私は、たくさんある「好き」をとにかく全部やってみて、そのうちのひとつに一生懸命になる瞬間ももちろんあるけど、そこでつまずいたら「気晴らしにこっちの好きをやろう」とかって分散していく。そのおかげで「好き」が「嫌い」までいかずに今いられているので、もしかしたらそこがポイントなのかなって思いました。「ひとつの好きに依存しすぎないようにする」っていう。

確かにそうですよね。ひとつだけに没頭しすぎると、立ち直りのきっかけを見失いやすくなってしまうことがありますよね。

そうですよね。「もう私には何もなくなった」みたいな気持ちになってしまうのがやっぱり寂しいなと思うので、「これがなくても、私はこれもできる!」って思えるように、いろんなことにチャレンジしようって意識しています。

安本さんのファンの方は、安本さんの「生き様が好き」と言う方が多いと聞きます。
このメディアも、自分の「好き」を足がかりに夢を追いかける方や、目標を持って英語学習をしている方が多いのですが、安本さんを原動力にして夢を追いかけているファンの方や、安本さんのように夢を叶えようと挑戦している読者の皆さんにメッセージをいただけますか?

そうですね。
まず、私が色々なことにチャレンジしたり、楽しく自由に生きている姿を見て、「元気をもらった」って言っていただけると、それに勝る嬉しいことは本当にないです。むしろその言葉にいつもパワーをもらって、それを原動力に好きなことを貫いていけてるので、
そう思ってくださっているファンの皆さんにはすごく感謝しています。

ただ、「誰かを原動力にして自分も頑張ろう」と思える存在って、アイドルや表舞台に立つ人だけじゃないと思っていて。身近な友達に対して尊敬の気持ちが湧いたり、親や恋人、先輩など、まわりの大切な人たちから力をもらえる瞬間も、きっと誰にでもあると思うんです。

夢を叶えようとすると、つい大きく考えすぎて、自分にプレッシャーをかけてしまってしんどくなることがあると思うんですけど、そんな時こそ、そういう身近な人との小さな繋がりを大切にするといいんじゃないかと思います。

まわりの人が明るく楽しく、自由に幸せに暮らしていけるように意識できたら、自然とそれが自分に返ってくるような良い循環が生まれて、また夢に向かって頑張ることができる。そうなったらみんなハッピーなんじゃないかなって思います。


やすもと・あやか/1998年6月27日生まれ、東京都出身。

アイドルグループ「私立恵比寿中学」のメンバー。2012年5月にシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビュー。2023年より「anan」beauty newsにて活躍中。ソロでの活動も精力的に行う。主な出演作は、ドラマ「ラブライブ!スクールアイドルミュージカル the DRAMA」、舞台「スクールアイドルミュージカル」など。
2025年8月にNecoMe『Bobby makes you smile!』を配信リリース。
2026年1月12日、Kアリーナ横浜にて「私立恵比寿中学 新春大学芸会2026」を開催。


POLYGLOTS magazine独占インタビュー ネルソン・バビンコイさん編はこちら