「難民・移民フェス」が放つ 「ごちゃまぜ」の魅力

取材・構成:POLYGLOTS magazine編集部
2026年6月6日土曜日、東京港区、東京タワー近くにある聖アンデレ教会にて、「第7回 難民・移民フェス」が開催されました。2022年に始まったこのフェスは、日本で暮らす難民と移民のことを知り、関わり、応援するためのチャリティイベントです。
会場各所に設置されたブースでは、アフリカ各国、ミャンマー、スリランカ、チリ、フィリピン、クルドなどの国や民族特有の食べ物、小物、衣類などの販売や、文化を知ることのできるワークショップが行われ、来場者は食べて、知って、体験して、楽しむことで、彼らを支援しました。主催者の発表によると、来場者はのべ4,000人を超える大盛況でした。
主催者はこのフェスを「ごちゃまぜで豊かな祝祭」と表現しています。実行委員の一人、文筆家・イラストレーターの金井真紀さんは「フェスの打ち合わせでも、様々な国や地域の出身者たちがごちゃまぜで意見を出し合います。意見にもそれぞれのお国柄が出て面白いんですよ」と話します。

国連の定義によると、出生国または国籍国以外の国に居住している人、または居住地を他国へ移し、1年以上滞在する人が「移民(migrants)」。一方「難民(refugees)」は紛争などによる迫害や深刻な危険のために自国を離れ、国際的保護を必要とする人々を指します。日本で「難民」として認定されるには「難民申請」をする必要があります。申請が不認定となると強制退去か、入管施設に収容されることになりますが、一定の条件の下、そのどちらも免除される「仮放免」という状態に置かれる場合があります。
教会の礼拝堂では、そんな仮放免状態の人々の現状について、有識者たちによるトークセッションが行われました。仮放免の状態になると、就労ができない、医療にかかれない、県境をまたぐ移動が禁止されるなど、人としての「普通の生活」ができなくなります。そんな仮放免の方々の子どもたちも同様の状態に置かれるため、アイデンティティや進学などあらゆる面でさまざまな困難を抱えることになります。登壇者たちは、仮放免を取り巻く不条理や、彼らへの「心の支援」の大切さなどについて語りました。礼拝堂は満席で、この問題に関心を持つ人の多さを物語っていました。
一方、屋外ステージでは、ゴスペルやダンスなどのパフォーマンスが来場者を魅了しました。ステージの司会進行を担当したのは矢野デイビットさん。矢野さんは、ガーナと日本にルーツを持ち、幼少期からの自身の体験を元に日本各地で人権についての講演を行うミュージシャンです。矢野さんは「僕が多様性の話をすると、海外から(そういった概念を)持ち込むな、と言われることもあります。でも僕は、自分が昔お世話になった日本の恩師たちに学んだことを元に話をさせてもらっているだけなんです。なので僕は、日本には元々多様性があると思っています」と来場者に語りかけました。

そんな矢野さんの言葉に呼応するように、ステージ最後のプログラムとして「移民の大先輩」である川崎の在日コリアンのハルモニ(おばあさん)たちが先導した「トラヂ音頭」では、来場者や出展者たちが「ごちゃまぜ」になって踊り、たくさんの笑顔と拍手で大団円を迎えました。
今回初めてこのフェスに参加したという女性は、「食べ物から世界を知ることができるのは私たちにとってハードルが低くて、とてもいいことだと思いました。食べている横でスピーチがあって、移民や難民の方々の現状を自然に知ることができました。こんなイベントがもっとあるといいなと思います」と話してくれました。
梅雨入り前のさわやかな晴天の下で、たくさんの人々が「ごちゃまぜ」を楽しみ、共生への希望を緩やかに未来につなげました。

emoji_objects本記事の重要フレーズ
〜を強制送還する
「(外国人を)国外退去させる」「強制送還する」という意味で、移民・難民問題や入国管理に関する文脈でよく使われます。
If the application is rejected, the person may be deported or placed in an immigration detention center. (申請が不認定となると強制退去か入管施設に収容されることになります。)




