I Got to Be Excited for a Day 「一日だけ、わくわくできた」

英文記事執筆:SAKURACO/ 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部
The Grammar of Life:
アメリカ在住のライターSAKURACOが、日々の暮らしや子育て、人々とのコミュニケーションの中で出会った「言葉」について想いを巡らせる隔週連載。人生をいろどり、かたどる言葉たち(The Grammar of Life)を、一緒に味わってみませんか。
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デートの相手に直前でキャンセルされたら、あなたならどんな反応をするでしょうか。
自分の遺伝子を呪うでしょうか。相手がその選択を後悔すればいいのに、とこっそり願うでしょうか。私の初期設定はたいてい、“覆水盆に返らず! さあ切り替えて、次のターゲットを探そう” です。
でも、ある15秒の動画が、そんな瞬間に使える新しい選択肢を私の語彙に加えてくれました。
その動画では、ある男性が勇気を出して誰かをデートに誘い、“いいよ” という返事をもらっていました。ところが、デートのほんの数時間前に、キャンセルのメッセージが届いたのです。
その瞬間についての彼の言葉は、痛いほど共感できるものでした。がっかりしたし、傷ついたし、少し恥ずかしくもあった。けれど、そこで物語は思わぬ方向に転がります。
“Well,” と彼は言いました。
“I got to be excited for a day, and that is wonderful.”
「一日だけ、わくわくできた。それって素敵なことだよね」
そのシンプルな一文の中に、私は彼が世界の中にある美しさを見ようとする姿勢を聞いた気がしました。日々を生きることに忙しく、つい悪いほうばかりを見てしまう私たちが、簡単に見落としてしまいそうな小さな喜びを、ちゃんと味わおうとする姿勢です。
もちろん、いい面を見ることがほとんど不可能に感じられる時もあります。そして、無理やり前向きになろうとすることが、時に毒になることも私たちは知っています。これは、がっかりした気持ちが痛くないふりをする話ではありません。
けれど、なんて力をくれる考え方なのでしょう。光の向きを変えるのに必要なのは、たった三つの小さな言葉だけです。
I. Get. To.
英語の “get to” は、何かをする機会や特権がある、という意味でよく使われます。そこには小さな感謝の扉があり、日常の中に隠れているささやかな贈り物に気づかせてくれます。
“My date flaked on me”
「デートの相手にドタキャンされた。」
それは事実です。でも同時に、
“I got to feel excited for a day.”
「一日だけわくわくできた」
とも言えます。それもまた事実なのです。最初の文は、失ったものに光を当てます。二つ目の文は、たしかに存在していた喜びに光を当てます。
ありふれた出来事を、奇跡に近い何かへと変えてしまうなんて、なんて魔法のようなのでしょう。ちゃんと目を向ける価値のあるものへと変えてしまうなんて。まるで、舞台の上でスポットライトを一人の登場人物から別の登場人物へ移すようです。
この小さな魔法を唱えると、もう一つの物語が生まれます。その物語の中では、キャンセルされたデートでさえ、あなたの人生に喜びと温かさと笑顔を加えてくれていたことになります。たとえ、ほんの短い間だったとしても。
言葉の力は、あまりにも簡単に見過ごされてしまいます。でも、私の好きな言葉の一つにこんなものがあります。
“The harmony between thought and reality is to be found in the grammar of language.”
「思考と現実の調和は、言語の文法の中に見出される。」
私たちが使う言葉は、私たちが見る世界の形を変えます。そして何より素敵なのは、私たちはその言葉を選ぶことができる、ということです。このスーパーパワーを使わないなんて、ニンバス2000*で床を掃くようなものです。
だから、読者のみなさんへ。
これは私からの小さな招待状です。最近、心が重くなった瞬間や、お腹の奥がきゅっと縮むような瞬間を思い出してみてください。その気持ちを消し去る必要はありません。ひとつの真実には、いつだっていくつもの側面があります。ただ、その気持ちの後ろ側を、あるいはその下側を、少しだけのぞいてみてください。
あなたは、何を経験することができたのでしょう。
私たちは幸せを無理に作り出そうとしているわけではありません。ただ、言葉で遊んでいるだけです。視点で遊んでいるだけです。万華鏡のように。少し回してみる。すると、何が見えるでしょう。
自分でも、少し驚くかもしれません。
*ニンバス2000:『ハリー・ポッター』に登場する最高級の競技用魔法のほうき。
emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ
「魔法をかける」「魅了する」
「cast a spell」は、本来は魔法や呪文をかけることを表す表現です。比喩的には、人や景色、音楽などが人を強く引きつけ、魅了することを表すときにもよく使われます。
The beautiful performance cast a spell over the audience.
「その美しい演技は、観客を魅了した。」
※このエッセイはSAKURACOさんが英語で執筆したものを、編集部で和訳しました。




