日本人の持つ3つの “Pride” ―誇り、自慢、プライド

英文記事執筆:Everett Ofori / 翻訳:POLYGLOTS magazine編集部

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日本は寿司、カラオケ、折り紙など、多くのことで世界中に知られています。小さな国ですが、世界に大きな影響を与えてきました。つい最近まで、日本はアメリカに次いで世界第2位の経済大国でした。多くの点で、日本には誇れるものがたくさんあります(Japan has a lot to be proud of)。けれども、ここで言う「プライド」(pride)とはどんな種類のものでしょうか。

英語では「pride」という言葉には二つの側面があります。一つは肯定的なもの(自信、自尊心)であり、もう一つは否定的なもの(傲慢さ、誇大な自尊)です。

一方、日本語では通常、三種類の「pride」が区別されます。それが「誇り(hokori)」「自慢(jiman)」「プライド(puraido)」です。それぞれに異なる感情や意味があります。

誇り(Hokori):仕事や価値へのプライド

「誇り」は日本語における最も肯定的なプライドです。それは静かで深い感情です。何かをよくやり遂げたときや、自分の価値観に忠実であるときに生まれます。たとえば、人は自分の仕事、家族、文化に誇りを感じるかもしれません。これは名誉や尊厳、責任と結びついています。

一つの例は、手術器具を作るある日本企業です。大企業からは、もっと製品を作ったり、事業を拡大したりするように何度も求められました。しかしその会社はいつも断ります。彼らはお金や名声には関心がありません。彼らは小規模で丁寧な仕事に「誇り」を感じているのです。高い品質を保ち、人々を助け、伝統を守りたいと考えています。

自慢(Jiman):誇示すること、見せびらかすこと

「自慢」は、西洋の「bragging(自慢すること)」という概念により近く、それは自分が他者より優れていることを示す行為を意味します。また、「showing off(見せびらかすこと)」にも似ており、自分の成果、所有物、または技能を積極的に示して注目を集めようとする行為を指します。

「自慢」は時に親しい友人同士で、楽しく、友好的に使われることもあります。たとえば、「昨日最高のラーメンを作ったんだ!」と言うような場合です。しかし一般的には、日本人は「自慢」が多すぎることを礼儀に欠けると考えます。それは傲慢や未熟に見えることがあるのです。

プライド(Puraido):借用語としての否定的な響き

「プライド」は英語の pride から来た言葉ですが、日本語では通常より否定的な意味を持ちます。たとえば、「プライドが高すぎる」、つまり謝ることや間違いを認めることを拒む、という意味で使われることが多いです。この種類のプライドは、人と人との間に距離を生むことがあります。

日本文化におけるプライドと謙虚さ

日本社会は「謙虚」「和」「目立ちすぎないこと」を大切にします。人々は自分の成功についてあまり話しすぎないように気をつけます。その代わりに、行動を通してプライドを示すのです。

日本の生活の多くの場面で「誇り」を見ることができます。美しい料理の盛り付け、清潔な街、完璧なサービス、あるいはスポーツの試合後に観客がスタジアムを掃除する姿。これらは言葉によらない、静かなプライドの表れです。

グローバル社会での課題

今日のグローバルな世界では、この静かなスタイルが時に問題を引き起こすことがあります。アメリカのような多くの西洋諸国では、人々は「自分の業績を語る」ことが求められます。それは昇進や新しい仕事を得る助けとなります。けれどもこのような自己宣伝(jiman)は、多くの日本人には居心地の悪いものと感じられるのです。

同時に、日本に来る西洋人は別のスタイルを学ぶ必要があるかもしれません。自分のことを語る代わりに、自分の仕事に語らせるのです。つまり、質と努力を通して「誇り」を示すということです。

理解と適応

異なる文化の人々が出会うとき、重要なのは判断しないことです。その代わりに、お互いの価値観を理解しようとすることができます。適応することは、自分のアイデンティティを失うことを意味しません。それは、周囲の文化に合った新しい表現の仕方を見つけることを意味します。

最終的に、本当のプライド、すなわち「誇り」とは、心を込めて最善を尽くすところから生まれるものです。


emoji_objects本記事のイチオシ!フレーズ

let A + 動詞の原形

Aに〜させる/Aが〜するのを許す

ポイント

“let A + 動詞原形” は 「Aが〜するのを許す/〜させる」 という意味の使役構文です。「強制ではなく、自然にそうさせる」や「任せる」という柔らかいニュアンスを持ちます。 本文中では “let their work speak for them”(仕事に自分の代わりに語らせる)という形で使われており、 「自分を誇示するのではなく、成果で示す」「言葉より行動で信頼を得る」という意味を表しています。

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